サーキックカルトとの世界を巡る戦い SCP-2480 未完の儀式

SCP紹介&内容整理

個人的にお気に入りの作品であるSCP-2480を紹介します。怪奇小説風の出だしから始まる内容で読み応えがありました。SCP-2480には要注意団体であるサーキックカルトが登場します。

SCP-2480のオブジェクトクラスはSafe Keter Neutralizedと推定となっています。SCP-1048 ビルダーベアと同じSafeだと思ったらヤバイやつだったというパターンですね。

SCP-2480は「Neutralizedと推定」となっているので一応脅威は去っています。ここではまずSafeと考えられていた時のSCP-2480をまとめてみます。

SCP-2480とは

SCP-2480はマサチューセッツ州にある、沿岸の深い森に覆われた住民12000名 9000名の町、███████に存在する直接知覚できない次元異常であると仮定されている。

認識災害効果が知覚を妨害するため、その異常は、知覚変化性の化学物質および/または周辺現実へ及ぼされる影響の直接的かつ持続的な観察を通してのみ検出が可能となっている。

直接知覚できないことから、周辺現実の変化で異常を観察しているようです。その変化は微妙なもので、ボドフェル邸内における不可能な内寸(外見より大きな内装・非ユークリッド的な構造・かつて存在しなかった追加の部屋や廊下)という形で現れているようです。

異常の中心となっているのはオカルトに強い関心を抱いていた億万長者の実業家、故コルネリウス・P・ボドフェル3世(1886-1952)の家、ボドフェル邸だと考えられている。財団はボドフェル邸に隣接したサイト-13を構築し、ボドフェル邸への民間人の接近を非暴力的に排除している。

生前のボドフェル氏は”アディトゥムの目覚め”として知られる秘密結社のリーダーで、1932年に財団はこの結社を単なる”退廃的な上流階級社会のクラブ”に過ぎないと片づけており、その異常な一面は1952年11月28日の事件まで認識されていなかった。

1952年11月28日に起きた事件

伝えられるところによると、1952年11月28日に、世界オカルト連合(超自然的な存在の破壊を目的とする同盟組織)のエージェントがとある儀式を妨害し、その際に意図せずSCP-2480が作成されたとされている。

財団は、SCP-2480異常はGOC工作員の不適切かつ強引なアプローチの結果であると結論を下した。この儀式の真の目的は今日まで不明のままとなっている。

GOC工作員の任務は致命的な失敗に終わったため、尋問すべき生き残ったGOC工作員は存在しなかった。しかしながら、その後、文書が███████にあるGOCのセーフハウスから回収されました。GOCは任務に先立ってこれらの文書を破壊しようとしたと思われている。

一枚の引き裂かれた報告書(後半部は紛失)と、ペーパークリップで付随された一枚の写真が、相当量の灰と共に暖炉から発見されている。他の文書は全て焼却されたと仮定されている。

その報告書は以下のような内容でした。

脅威ID: KTE-0452-Black -“崇高なるカルキスト・イオン (Grand Karcist Ion)”

認可レスポンスレベル: 4 (重度脅威) 粛清保留中

説明: KTE-0452-Black(以下、”対象”と呼称)は、可変性の外観を有する人型の脅威存在である。対象は多くの場合、聖職者の衣装を身に纏い、長杖を持って現れる。対象は、意のままの消失と再出現・有機材質の生成と操作・現実改変(文書37B参照)が可能であり、さらに生物学的には不滅と考えられる。対象は人型と分類されてはいるが、人間ではないと推測される(かつて人間だった事があるか否かは議論の余地あり)。

心理的分析は、悪性の自己愛と誇大妄想を示している。対象は世界の大部分における”肉のカルト(Sarkic Cults)”の創設を援助したと考えられている。詳細はSarkicismを参照。

GOCはこの存在の暗殺を試みたが、現場で見つかった死者の中にこの存在はなかったため、暗殺に失敗したと推測されている。GOCは財団はこの存在をPoI-93と指定している。

KTE-0452-Blackという言葉は、GOCが脅威存在(SCPオブジェクトに相当)に対して命名する際に使用する言葉です。PHYSICS部門脅威存在データベースからの抜粋によると、KTEとは既知脅威存在で、Blackは半神を意味します。

このカルキスト・イオンは、要注意団体、サーキック・カルトの開祖とされている存在です。信者たちは儀式的な人肉食、人身御供、肉体の増強、魔術、異次元操作を実践しています。

財団はサーキック・カルトにより、財団用語でいうところの、XK-クラス世界終焉シナリオの可能性を含む、SK-クラス支配シフトシナリオ(世界が人類以外の存在に支配されるというシナリオ)が引き起こされることを警戒しています。

財団はGOCの救難連絡を傍受・復号した時点でSCP-2480の存在を認識。直ちに調査チームを派遣した。

36体の死体が屋敷の中に散在しているのが発見され、8体は後にGOC工作員と特定された。GOC工作員のうち5名の死因は、自傷的な銃創で、他の全ての死体の死因は、爆縮・崩壊・致命的な物理的再構成などの異常なものだった。

財団による調査

ボドフェル邸の調査により、ボドフェル3世と”アディトゥムの目覚め”として知られる結社に関わる、憂慮すべき証拠が発見された。

幾つかの注意深く保管された手記や写真集から、ボドフェルとその賛同者たちは頻繁に強姦・小児性愛・儀式的な人身御供・人肉食を伴う乱交パーティーを開催していたと見られている。手記からは説教のメモと、富裕層・尊敬を受けている政治家・産業界のリーダー・さらには宗教的権威の名が含まれるゲスト一覧が発見された。

ボドフェルの所有物の中には、宗教的経典を含む手書きの大きな本が一冊あり、彼は手記でこの本をしばしばValkzaronと称している。筆記システムは解読されていない。

また大ホールでは、ライオンの頭部と虫状の身体を持つ実体を象った大理石像が見つかっている。この像は後に財団によって研究され、グノーシス主義宗派に共通するデミウルゴスを表現したものであると確認された。

邪悪な造物主とみなされたデミウルゴス(“ヤルダバオート”、”サクラス”、”サマエル”としても知られる)が崇拝されたという歴史は存在せず、”アディトゥムの目覚め”独自の礼拝の対象となる像と考えられている。像の基部にはギリシャ語で以下のように書かれている。

「欲望は万物の尺度である。道徳の鎖に縛られるなかれ。望む事を、望む相手に成すが良い。」

物騒なことが書かれていますね……。

サイト-13の異変

1988年半ば、サイト-13の管理者であるサイモン・オズワルトから、半年ごとのSCP-2480の状態に関する報告が行われなかったため、財団はサイト-13に直接連絡を試みた。だが、サイトから応答はなく、財団はエージェント2名を調査のために派遣する。しかし両エージェントとも連絡が取れなくなり、現時点で彼らの運命は不明となっている。

最終的に財団は機動部隊イプシロン-6(“村のアホ”)をサイト-13との接触再確立とSCP-2480確保のために派遣した。MTFイプシロン-6構成員は、新たな住民または観光客を装って、問題なくコミュニティに浸透することが出来た。

ここまでがSafeの内容になると思われます。MTFイプシロン-6監視任務のミッションログでは、SCP-2480の異常性に関するエージェントによる報告を見ることができます。その内容を抜粋すると、以下のようなものでした。

  • 町はいつも雨が降っていて、深い霧に覆われている。
  • 住人は多くを語らず、大半は疲れ果てている、町のパブでは辛い人生を語る老人もいた。
  • 廃墟が多くあり、探査した廃墟のインテリアは訳の分からない文やシンボルで覆われていて、原形を留めないほど腐った食べかけの食事が放置されていた。
  • 町のホテルは全く快適でなく、人々が夜に何時間も走り回っているのが聞こえる。
  • 大きく噛み千切られた痕のある犬の死体とそれを囲む子供たちの報告。

陰鬱で不気味な状況です。さらにエージェントの一人が密室から消失したという報告やに見えない力で、エージェントが肉塊となったという報告もされます。

SCP-2480って危険なんじゃね?と思えてきたところで、財団のカリスト・ナルバエス博士が登場します。

彼はこの地域の監視から以下のことを報告します。

  • 過剰な出産 – 平均的な███████の世帯は12人の子供を持っている。国勢調査データには実証されていない数だ。過去30年間に生まれた子供の約80%は出生証明書や社会保障番号を有していない。現地住民への質問では、なぜこうなっているかの理由は確認できなかった。Quiverfull7に似たような、宗教的理由があるのではないかと思う。
  • 認知障害 – 大部分の住民は、記憶の保持が困難であり、亜症候群性譫妄(精神的疲労)の様子を見せている。微妙な幻覚は珍しくない。
  • 薬物乱用 – このコミュニティは州全体の平均よりも約200%以上のアルコールを消費しているようだ。幻覚剤の使用は一見したところ見られない。
  • 失踪 – ███████近郊における失踪の数は州で最も多い。これは鬱蒼とした森や湿原地域などの地形、あるいは州や連邦法執行機関の怠慢のせいにされている。実際の行方不明者数は、短期滞在客や現地住民の未報告の失踪を含めれば、遥かに多くなることが推測される。
  • 疑惑の死 – 現地における死者の多くは、凶行と、恐らくは異常な死因を示唆している。このような全ての死は、たとえ矛盾する証拠が法執行機関に提出された場合でも、事故または自殺として記録されているのだ。例として、ある女性は構造的に反転した状態の死体で発見された。警察はこれを(不可能にも拘らず)自殺として片づけてしまった。
  • 無関心 – 前記の異常の例からも容易に明らかなように、普通でない倦怠感が町に影響を与えている。

過剰な出産率、失踪者・不審死の多発、住民に蔓延する認知障害や無関心。一体町には何が起きているのでしょうか?

博士は過去のSCPに関する経験から、この現場の異常性は”我々の(そして我々の技術の)感覚を超えた、基準現実世界の複製物を作り出す異常性だと仮定”し、博士の過去の研究で認知増強剤であると判明していたジメチルトリプタミン(N,N-DMT)の利用を要請。要請が認められた博士はDMTを使った探索に赴きます。

博士によると、DMTは一般的には幻覚剤だと考えられているが、これには人間が進化の過程で曖昧にしか見ることができなくなったものを感知できるようにする効果があり、我々の知覚フィルタを除去し、見聞きしている現実の実際の在り様を見せると述べています。

博士による探索1

探索の内容は以下のようなものでした。

私(ナルバエス博士)は、DMTが60mg入った吸入器と、助手(呉博士)に直接繋がっている隠し無線機およびビデオカメラを所持して、0900に町の中心部へ入る。DMTを吸入する前に、最初の1時間を周囲の観察に費やす。
 
DMTを吸入。1分ほどで身体全体にピリピリと痺れを経験する。色がますます鮮やかになり、間もなく黄色い霧が町を包み込む。私は、暗色のフード付きローブを着た人々を見ている。彼らの衣服は、雑に縫い合わせた革と獣皮で構成されているように見える。彼らの顔を見ることはできず、私は本能的に、彼らを見てはいけないのだと感じる。地元民の大半は驚くほど普通で、フードの影が近づいてくると回りこむか、横に退く。決して目を合わせようとはしない。呉はこの奇妙な行動について私に通知し、地元民が不可視の何かを回避しているように見えていると述べる。
 
私は探索を続行する。
 
今や建物は廃墟状態であり、脈動する肉質の素材で覆われているのが見える。呉は、これらの建物が彼には全く正常に見えていると述べている。私は排水システムに目を止める ― そこを黒い流体が流れ、一緒に琥珀色に輝く何かが運ばれている。呉はこれを全く見ることができない。町の中心部にある教会は、完全に黒いジッグラトに置換されている。僧帽を被った実体が建物の前で平伏している ― 宗教的な重要性があるのだろうと仮定してみる。
 
ローブを着た実体が1体、遠くに見える。異常に背が高く、数匹の正体不明な生物を革紐に繋いで連れている。私はより密接に紐を調べる ― 組成は腸のそれに似ている。生物は小さな、瞬きしない目をしている。口には針のような歯が数列並んでいる。肌は弱弱しく蒼ざめた色合いだが、それでも筋肉質である。生物たちは狂ったようにギャッギャッと泣き喚き、猛烈なペースで移動している。
 
呉博士は、幼い生徒たちを連れた教師が見えると言う。おそらく遠足だろうと。
 
私は、生物のうち数個体が、群れの中で発育不良らしき小柄な仲間を攻撃し始めたのを観察する。鉤爪と歯で肉を引き裂き、小柄な個体は痛みに叫ぶ。呉は、数人の子供たちが別な子をいじめ始めたと述べる。
 
これ以上は見ていられなくなって、私は目を逸らす。空に目を向けると、町を圧して聳え立つ、キチン質のような材質で構成された高い尖塔が見える。その目的は理解できない。私にはこの隠された世界が本物であるという証明が必要だが、注意を引くことなくそれを取得しなければならない。
 
私はカバンから水のボトルを出し、飲み干してから、奇妙な液体を見た場所まで引き返す。しゃがみ込み、粘性物質をプラスチックの容器に満たす。
 
もう一つの世界は色褪せ始め、私は現実に帰還する。DTMの効果が切れたのだろう。私はボトルに目を向ける。目には空っぽに見えるが、液体の重みを感じる事が出来る。
 
こんな事を経験したのは初めてだ。有機建築物の他にも、黒い旗と、黄色い螺旋状のシンボルを見たのを思い出す。前にどこかであの図を見たような気もするのだが、意味と起源は思い出せなかった。

人間には知覚できませんが、この町の正体は魔界と呼ぶにふさわしいような異常な世界でした。

この領域から持ち帰った粘性物質は、SCP-2480の影響範囲外で可視化。黒色で、微かなオレンジ色の光を反射する幾分ゲル状の液体であった。顕微鏡分析で、未特定の脂肪酸を多く含む著しく粘性の漿液中に、ミトコンドリアに似た細胞小器官のような構造が発見された。研究が進められている。

博士による探索2

次に博士は消失したエージェントがいた場所を探索します。

私(ナルバエス博士)は、エージェント ライトボディおよびゴールドスタインを伴い、エージェント ジュゼッペが ― 最近までは ― 待機していた家に入る。凶行が想定されるものの、初期調査では何が発生したかを示す証拠が全く無かった。以前の実験で行ったように、私は助手(呉博士) に接続されたライブ映像ビデオカメラを持っており、DMT60mgを吸入する事を意図していた。
 
建物を検査した後、DMTを接種。
 
予想通り、1分ほどで身体全体にピリピリ感を経験する。
 
私は今、家を本来あるべき姿として知覚している。腐敗し、排泄物と血で覆われている。臭いを嗅ぐことが出来る。味を見てみる。腫瘍を噛んだらこんな感じだろうな、と想像する。腐った腫瘍と言った方がいいかもしれない。結局のところ、腫瘍も肉の一種だ。
 
リビングでは、ソファのすぐ上の壁に、フレーズが書かれていた。
 
カレハイクサヲユメミテイル
アディトゥムハタチアガルデアロウ
 
これらの言葉の意味するところは、私の理解を超えている。
 
他にもシンボルがある。以前見たことのない、解読不能の言語だ。
 
我々は地下室を探索してみる。古代の地下貯蔵室。一番向こうの壁には大きな螺旋が描かれている ― もっと近くで検査せざるを得ないように感じる。私が近づくと、壁は薄れ、しかしシンボルは残って空中に描かれたような状態になった。この入口を通って階段を下りていく。私が入ると、呉は私が壁の中に歩いていき、その後カメラが暗転したと通知する。壁など無い。あの壁は存在ではなく、巧妙な錯覚に過ぎなかったのだ。
 
エージェントたちは懸念している。彼らは道を見る事が出来ない。私は彼らに、目を閉じて私がやったように通り抜けてみるよう伝える。今、我々3人は皆、壁の同じ側にいる。彼らも下へ降りる石段を見る事が出来ている。階段を降り、トンネルに入る。地下のそのまた地下の奥底へと。
 
壁は生命を持って揺れ、震える。多孔性で、樹液のような物質が流れ出している。呉との連絡が途絶える。GPSデバイスは我々を見失った。ライトボディがコンパスを見ると、磁石はクルクルと回っている。
 
トンネルは多くの方向に分岐している。私は左へ行く道を選ぶ。数分ほど歩き、腐敗した木製のドアに辿り着く。エージェントたちに、彼らも私同様にこのドアを知覚出来ているか尋ねる。出来ている。我々はドアを開けて入り、明らかに基準現実の外観を有する古い小屋から退出する。GPSは、我々が町の完全な反対側にいる事を示している。呉博士との連絡が再確立される。我々は何かの畑にいるらしい、黄色い霧が土地を覆っている。
 
呉博士とエージェントたちは、この場所を放棄された耕作地のようだと述べる。GPSは我々がボドフェル屋敷に比較的近いことを示唆した。私はDMTを更に60mg吸入し(メモ: 効果を長くする方法を研究)、エージェント ゴールドスタインが先頭に立つよう要請する。私は恐怖感を感じるが、全力でそれを隠そうとしている。
 
重い息遣いが聞こえる。重い足音も。皆は何も聞こえないという。
 
このメモは回想しながら書いているものだ。ゴールドスタインは、残念だが、脅威に気付くことが出来ず、私が反応するのは余りに遅過ぎた。彼の死は哀しいが、可能な限り詳細に遭遇時のことを記述しなければならない。
 
私は、身の丈4m以上はあると思われる巨大な人型生物のシルエットが霧の中からよろめき出てくるのを見たのだ。悲鳴を上げたかったが、できるだけ多くのデータを収集するために、冷静さを保つことを試みた。肉体的描写:肌は青白く弛んでおり、顔は歯がびっしり生えた大きな口に占められていた。実体は目に見えるような目・耳・鼻の穴を欠いていた。歯と三本指の手には汚れが染みつき、内蔵らしきものがこびり付いていた。
 
実体は、巨大なゴリラよろしく大股で我々目掛けて突進してきた。撤退すべきだと皆に伝えたが、最早エージェント ゴールドスタインには手遅れだった。実体は片手で彼を持ち上げ、胴体に喰いつき、その過程で内臓を身体から抉り出した。
 
我々は出てきた小屋を見つけられず、畑を蛇行した。私は非武装だというのに、案内をできるのは私だけだ。彼女にもDMTを渡しておくべきだった、こうして振り返ると深く後悔する事しかできない。私は足下で地面が揺れ動くのを感じた。目を下に向けると、私に見えたのは土ではなく、断片化された肉だった ― ハーレクイン型魚鱗癬のような。私が一歩踏み出すごとに、皮膚は分裂し、傷口に溜まっているような膿が噴出した。間もなく地面が分かれ、這い回る深紅の巻き鬚が現れた。そいつらはエージェント ライトボディの足首に巻きついて、人間には小さすぎる穴に引き摺りこんだ。彼女の悲鳴が、骨が砕ける音が聞こえた。
 
私は走り、一度も振り返らなかった。これで十分な証拠になるだろう。二度とあそこに戻ろうとは思わない。


これはもう完全にKeterですね。
正体不明のモンスターが出現しています。家屋は腐敗。排泄物と血で覆われており、外側は黄色い霧が漂うという異常な光景が広がっていました。博士は逃げ切れたものの、エージェント2名が殺害されてしまいます。

おそらく財団はこの報告後にオブジェクトクラスをKeterに再指定したと思われます。この領域が拡大すれば、世界がこの異常な世界に置き換わってしまう―SK-クラス支配シフトシナリオ―の危険があります。

財団はGOCとの対サーキック共同プロジェクト、プロジェクト・シトラ=アキュラを制定します。財団は基本的に収容を目的としており、破壊を目的とするGOCとは相容れませんが、Kクラスシナリオ回避のため、既に情報を有しているGOCと合同で対処することに決めたようです。

GOCの情報により1952年11月28日の事件は暗殺のためであったこと、SCP-2480はGOCが原因で起きたわけではなかったということが確定したようです。

プロジェクト・シトラ=アキュラ

このSCP-2480ではプロジェクト・シトラ=アキュラのオリエンテーションの声明文入門マニュアルを読むことができます。内容はSCP-2480を見ていただくとして、その文章の中で次のようなことが明らかになります。

  • SCP-2480は、現在、2030年までにSK-クラス: 支配シフトシナリオを引き起こすと予測されている。
  • 遺伝子分析から敵は“概ね、ヒト”であるという結論に達した。
  • 敵がどこからきているのかは不明。
  • 敵は基準現実世界の複製物で自らを覆い隠しているため、機動部隊プサイ-9工作員に対して愛する者の顔を身に着け襲ってくる。
  • 敵の兵士には恐怖も苦痛も無い。

恐怖も苦痛も無い怪物たちと戦わなければならないという危機的な状況です。しかしこれらの邪悪な存在は破壊できることが確認されており、任務にあたる機動部隊プサイ-9工作員が激戦を繰り広げている模様です。

入門マニュアルによると機動部隊プサイ-9(“深淵を見つめる者”)は、財団と世界オカルト連合の人員から成る共同部隊で、重砲類・DMTによる強化知覚・オカルト交戦時戦略(COS)を通して、侵略者に対する不正規戦を行う訓練を積んだ一個大隊級の戦力であるということでした。

MTFイプシロン-6はSCP-2480の影響を受けた地点で偽装の下に調査任務を続け、得られたデータはMTFプサイ-9の任務に適用するという形になっています。MTFプサイ-9は多大な死傷者を出しており

生存率は、任務最初の月の時点で、約55%のあたりを揺れ動いている。これは初期の死傷者率と比べて大幅に改善された数値だ。

ということからも非常に過酷な戦いとなっていたことが伝わってきます。オリエンテーションのO5-4の声明は以下の言葉で締めくくられていました。

彼らの武器は肉だ。我々はと言えば、技術と、革新と、先人の残した知恵だ。だから何人かは、危険に気付く事も出来るだろう。
 
ここは、我々の世界だ。我々の守るべき人々だ。我々には、今日を自分のために生きる事も、皆のために安全な明日を確保する事も出来るのだ。

ボドフェル屋敷およびサイト-13の奪還

非常に多くの犠牲を出しつつも12年間(!)の秘密任務により、財団はボドフェル屋敷およびサイト-13の奪回に成功します。またSCP-2480-1 ― かつてサイト管理者のサイモン・オズワルトだった存在 ― が捕縛された事により、SCP-2480の脅威は大幅に減少し、潜在的にNeutralizedという状態になりました。

2480-1はフェロモンを介してSCP-2480実体を操っており、-1の捕縛によってSCP-2480実体群は忘我状態に陥り、無効化されたようです。

SCP-2480-1への尋問

財団は捕縛したSCP-2480-1に尋問を行いました。住民を町に住まわせていた理由は、住民を“必要資源”として利用するためでした。

SCP-2480-1曰く「肉は常に求められている。農夫が自分の豚を一匹残らず肉屋に売ったらどうなると思うね?」

消えた人々について聞くと「豚というのは、君も知っての通り、賢い動物だ。知的で高貴だ。だが、それでも豚肉は美味かろう?」(微笑み)と答えています。恐ろしすぎますね……。

過剰な出産率、失踪者・不審死の多発、住民に蔓延する認知障害や無関心の謎が解けました。SCP-2480-1は住民を資源として利用するため、住民に認知障害や無関心を蔓延させて無力化。出産率を上げることで資源を増産し、消費された人々は失踪者となったと考えられます。

SCP-2480-1が異常性質を持つようになったのは、サイト-13に管理者と就任してすぐでした。SCP-2480-1よると、財団の書類の中で、自身を”頭の鈍い男”、”既知の家族や友人がいない、陰気な官僚主義者”、”取るに足らない”サイト-13の管理者として”完璧”と評されていたことを知ったためでした。


財団に対して不満を持っていたSCP-2480-1は、何らかのかたちでカルキスト・イオンと接触し、異常性質を持つようになったと考えられます。

たった一人の人間を、12年間の戦闘と多大な犠牲でようやく捕縛できるという強大で厄介な存在に作り変え、人類に大きな被害を与える―サーキックカルトは財団・人類にとって非常に危険な恐るべき要注意団体だったのです。

時系列的にはこのSCP-2480は、財団がサーキックカルトの危険性を認識した最初の事件のようです。

おわりに

いかがでしたでしょうか?サーキックカルトのヤバさがわかるSCP-2480でした。このサーキックカルト関連のSPCはいくつかあるので気になった方はぜひ読んでみてください。

関連リンク
SCP財団 サーキックタグのページ一覧
サーキシズム-ハブ – SCP財団

SCP-2480 – An Unfinished Ritual
by Accelerando
www.scp-wiki.net/scp-2480
ja.scp-wiki.net/scp-2480
この記事の内容は『クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承3.0ライセンス』に従います。

 

コメント