絶対に探してはならないウォーリー SCP-4885 – 彼を探せ

SCP紹介&内容整理
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初期のSCP財団では、シャイガイやオールドマンなどの危険な人型実体が多く登場し、人気を集めていました。しかしながらそういったホラーのモンスターのようなSCPは、時が経つにつれ、いろいろなオブジェクトが登場したことで、オリジナリティや新規性を出すことが難しくなり、登場が少なくなってきているように思えます。

とはいえ、少ないながらもそのようなホラー系モンスターの作品は生み出され続けています。今回はホラー系モンスターのSCP作品、SCP-4885 – 彼を探せを紹介します。

※グロテスクな暴力描写があるため苦手な方はご注意ください。

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SCP-4885とは

SCP-4885の冒頭には、以下のような注意が書かれています。

O5評議会からの直接許可がない限り、地球上のあらゆる特定の場所に関する情報はSCP-4885のファイルに存在してはなりません。

SCP-4885のファイルに地球上のあらゆる特定の場所に関する情報を記述することが禁止されています。なぜ場所に関する情報の記述が禁止されているのかは不明ですが、SCP-4885に関しては、場所が重要な意味を持つようです。

オブジェクトクラスはKeterとなっており、長めの特別収容プロトコルが書かれています。

特別収容プロトコル

特別収容プロトコルは以下になります。

現在のところ、SCP-4885は収容されていると理論づけられているだけです。さらに詳しく説明すると、SCP-4885は、不明なサイト内にある不明なクラス-17収容チャンバーに収容されています。SCP-4885が収容違反した場合、以下の手順からなる手順インヴィニエント・エウム(Invenient Eum)が施行されます。

最初から少々奇妙な内容になっています。SCP-4885は収容されていると理論づけられているだけであり、不明なサイト内にある不明なクラス-17収容チャンバーに収容されていると書かれています。

場所に関する情報は冒頭の注意で記述が禁じられていたため、書かれていないのだと推測できますが、理論づけられているだけという表現は何を意味しているのでしょうか?

収容されているのなら収容されていると記述できるはずですが……

「不明な」という表現からは、場所を知っていてその場所を隠しているのではなく、実際に財団職員の誰にも知られていないという意味合いに感じられます。場所という情報自体が不明であれば、誰かが場所を記述することはありません。

財団は徹底して場所という情報が記述されないようにしているようです。

SCP-4885が収容違反した場合には手順、インヴィニエント・エウムが行われます。報告書の続きにはその手順とプロトコルの続きが書かれています。この時点では読んでもなぜそうするのか理由が分からないと思いますので、後で確認していきます。説明を読んでみます。

説明

説明: SCP-4885は人気パズルブックシリーズ“ウォーリーをさがせ!”の主人公に類似する異常な人型実体です(アメリカでは”Where’s Waldo?”として知られています)。これは、SCP-4885が横長の赤と白の縞模様のシャツ、赤と白のボブルハット、並びにジーンズを着用していることを意味します。しかし、そのキャラクターとの外観には顕著な違いがあり、実体自身の肌は青白く、目が欠如しています。

SCP-4885は人気パズルブックシリーズであるウォーリーをさがせ! – Wikipediaの主人公に類似する異常な人型実体です。横長の赤と白の縞模様のシャツ、赤と白のボブルハット、並びにジーンズというウォーリーと同じ服装であるようですが、青白い肌で目がないという特徴があるようです。

ウォーリーをさがせ!は、非常に大勢の人物が描かれたマンガ調の大判のイラストから、主人公であるウォーリーや、巻物などのアイテムをさがすというパズルブックで、世界中で人気を博しているシリーズ作品です。

主人公の名前は原著及び日本語版ではウォーリー(Wally)となっていますが、国によってローカライズされており、北米版ではWaldo(ウォルド)という名前となっています。

外見からすでに危険そうな雰囲気を感じますが、その行動も非常にグロテスクかつ暴力的なものになっています。

ある時点で、対象者がSCP-4885の現在地を知っている場合(“惑星地球”や”中国”など、その場所の情報があまりにも曖昧な場合、異常性は発生しません。この効果の詳細は不明です。)、 SCP-4885は最も近い壁に移動し、そこへ”段階的に”入り始めます。

ある人物がSCP-4885の現在地を知っている場合、 SCP-4885は最も近い壁に移動すると、その壁に”段階的に”入り始めます。そして……。

SCP-4885は対象者の内側に出現し、食道に手を伸ばし、対象者の口を介して顎をつかみます。SCP-4885はその後、それらを引き寄せ続け、対象者の体内器官と脊椎を破壊しながら通り抜けます。

SCP-4885は自身の現在地を知っている人物の内側に出現して、その口から手を伸ばしてあごを掴み、体の外側へ通り抜けます。この時、対象者の体内器官と脊椎を破壊しながら通り抜けるため、当然ながら現在地を知っている人物は凄惨な死を迎えます。

これが発生すると、黄色い液体が対象者の死体の口から排出され、対象者を完全に覆い、死体はSCP-4885-1実体へとなります。SCP-4885は、他の人物が再度その場所を発見するまで、現在地に留まり、時々その地域を巡回します。

死を迎えた人物は、その口から黄色い液体を排出し、その液体に完全に覆われることで、その亡骸はSCP-4885-1実体へと変化して、SCP-4885はその周囲を徘徊します。

しかし、対象者がその場所を発見したとき、SCP-4885に十分近づいていた場合、SCP-4885は代わりに対象者に接近し、対象者の口の内部に入るためによじ登って、対象者の腹部に入り、対象者の骨盤を通って身体から出ることを試みます。この間、SCP-4885は体内の関節を容易に脱臼/再配置することが可能であり、その皮膚および筋肉は可鍛性固体の稠度を獲得し、容易に対象者を出入りできるようにします。

他の誰かがその場所を発見し、SCP-4885に十分近づいていた場合、SCP-4885は壁を通るのではなく、発見した人物の口から直接体内に入り込み、骨盤から外へ出ようとします。当然ながらこの場合も先ほどに勝るとも劣らない凄惨な死が待ち構えています。

過程は異なりますが、SCP-4885の場所を知った人物は死に至ります。

このように、SCP-4885はSCP-4885の現在地を知る人物に回避不能な死を与えるという致死性の異常を有しています。

これは”SCP-4885の現在地”という情報によって発生する一種情報災害と捉えると分かりやすいです。このような異常性があるため、場所に関する情報を徹底的に排除していたのでしょう。

SCP-4885のような、何かをしたら死亡するという異常性はSCP財団では目新しいものではありませんが、説明の最後ではSCP-4885の厄介な特徴が明らかになります。

SCP-4885は関節を容易に脱臼/再配置することが可能で、その皮膚および筋肉は可鍛性(かたんせい)固体の稠度(ちょうど)を獲得すると書かれていますが、可鍛性とは圧力で破壊されずに変形できるかどうかを示す固体の性質で、稠度は物質の流動性を示す度合いです。

自身の皮膚や筋肉を破壊することなく変形できるレベルの流動性を得ることで狭い空間でも侵入できるようです。

SCP-4885-1実例はSCP-4885によって生成された異常な死体です。SCP-4885-1実例の本体全体には、ウォーリーを探せ!の書籍に見られるようなイラストが描かれており、実例の皮膚には多くの異なるキャラクターが出現しています。これらのイラストは、死体の口から排出される液体に由来しています。現在までに、SCP-4885-1実例において漫画のキャラクターである”ウォーリー”の実例は発見されていません。これらのイラストは、それが描かれている皮膚が取り除かれない限り、対象者から取り除くことはできません。

SCP-4885により殺害された人物は、口から排出された黄色い液体に覆われ、ウォーリーを探せ!の書籍に見られるようなイラストのキャラクターが多数その皮膚に表れます。

ウォーリーを探せ!では、ウォーリー以外の人物がところ狭しと書き込まれていますが、SCP-4885により殺害された人物の皮膚にもそれに似たイラストのキャラクターが現れます。しかしながら現在までウォーリーの姿が描かれたSCP-4885-1は発見されていません。

対象者が任意のSCP-4885-1実例の場所を知っていた場合、SCP-4885は対象者に向かって転移し、SCP-4885自体を発見した場合と全く同じ方法で殺害します。これにより、SCP-4885-1実例に変換されます。

SCP-4885-1の存在する場所もSCP-4885の存在する場所と同じく、その場所を知った人物はSCP-4885により殺害され、死体がSCP-4885-1実体へと変化します。

SCP-4885だけではなく、SCP-4885-1の場所を知った人物も、SCP-4885によって殺害されるという異常性を併せ持つところが、SCP-4885の厄介な点です。

具体的には、対象者が任意、つまりどこかある地点のSCP-4885-1実例の場所を知っていた場合、SCP-4885は対象者に向かって転移し、SCP-4885自体を発見した場合と全く同じ方法で殺害します。

SCP-4885自体を発見した場合とは、先ほどの説明に書かれていた、対象者がその場所を発見したとき、SCP-4885に十分近づいていた場合」に該当します。この場合の殺害方法は、接近したSCP-4885が外部から口に進入し骨盤を通って身体から出るというものでした。

SCP-4885-1の場所を知った人物の近くに転移した上で、SCP-4885が近くにいる場合と同じく、場所を知った人物の口から内部へと入って、通り抜けることで殺害します。

SCP-4885自体を発見した場合がなぜ「対象者がその場所を発見したとき、SCP-4885に十分近づいていた場合」に該当するのかを補足すると、以下のように説明できると思います。

ある人物がSCP-4885自体を発見した場合、目隠しされて連行されてきたなどの特殊な状況を除けば、その人物は自分がいる場所がどこか知っています。従って、現在、自分の目の前にいるSCP-4885も自分と同じ場所にいることになります。これはSCP-4885の場所を知っていることを意味します。

異常性をまとめると以下のようになります。

  • SCP-4885の現在地を知ると体内に転移してきたSCP-4885に殺害される。
  • SCP-4885を至近距離で目撃した場合は、SCP-4885は体内には転移せず、口から目撃者の体内に進入して殺害される。
  • SCP-4885-1の存在する場所を知った場合は、場所を知った人物の近くに転移した上で、口から体内に入って殺害される。
  • いずれの場合も被害者は新たなSCP-4885-1となる。

SCP-4885は、顔を見れば襲ってくるSCP-096 – シャイガイを思い起こすような異常性を持っていますが、シャイガイとは異なりSCP-4885-1という異常性を引き起こすトリガー自体が増加していくため、収容違反する可能性が非常に高いといえます。

被害が広がれば、指数関数的にSCP-4885-1実体が増加し、多くの犠牲者が発生する大規模収容違反に繋がります。

SCP-4885との初遭遇

報告書にはSCP-4885と財団との初遭遇の記録が残されています。

SCP-4885は、小さな木造家屋内の[位置編集済]で居留している所を発見されました。機動部隊カイ-19(”容赦なき罰”)は、完全に分離したアノマリーを捕獲するために派遣され、SCP-4885の存在を知りませんでした。

財団との接触は偶発的なものでした。

機動部隊カイ-19(”容赦なき罰”)の隊員であるアメリア・メリック(M-1)、ジェームズ・クライン(M-2)、 カート・ストール(M-3)が、完全に分離したアノマリーを確保するために小さな木造家屋を訪れます。

M-1: オブジェクトの初期記述によると、使用者を殺害することができ、さらにその使用者を未知の児童書の奇妙な絵で覆う黒い眼鏡だそうよ。

と会話していることから、機動部隊の任務は黒い眼鏡の回収であったようです。当初はこの黒い眼鏡が『使用者を殺害することができ、さらにその使用者を未知の児童書の奇妙な絵で覆う』という異常を引き起こしていると考えられていたようです。

黒い眼鏡と言えばウォーリーのトレードマークであり、原作の『ウォーリーをさがせ!』にも顔から外れた状態の黒縁の丸眼鏡が描かれ、この眼鏡もウォーリー以外に探すべきアイテムのひとつとなっています。

異常性と併せて考えると、この黒い眼鏡はSCP-4885の所持品だと思われます。完全に分離したアノマリーとは、SCP-4885から分離したこの丸眼鏡であったようです。

機動部隊は1階を捜索した後、2階へ向かいますが、この時、下から擦れるような音が聞こえていたようです。

一行は2階で壁にクレヨンで描かれたと思しき絵を発見します。M-3によって撮影された画像にはウォーリーと類似した人物が描かれ、WALDO FOUND MOMMY(ウォルドはママを見つけたよ)と文章が書かれていました。ウォルドは北米版のウォーリーの名前でしたね。

問題のオブジェクトは円形のトイレとシャワーのあるバスルームにありました。天井には改造されたスプリンクラーが設置されていました。なぜそんなものがあるのでしょうか?

改造されたスプリンクラーも奇妙ですが、他にもおかしな点があります。この家は数年間放棄されていたため、動作しないと思われたにも関わらず、部屋の隅にあるスイッチで作動させると火傷するぐらい熱い湯が出てきました。

探していた黒い眼鏡はトイレの上にありました。黒い眼鏡にはレンズがついておらず、探し出した隊員の指紋以外の指紋はなかったようです。黒い眼鏡を無事回収した一行でしたが、壁に文章が刻まれていることに気付きます。

ここからは本文を引用します。

M-3: ここに文が刻まれてるぞ。そいつは…えーっと、[編集済]。

M-1: どこ?

M-3: こっちだ、壁に。

“[編集済]”というフレーズが[編集済]の壁に見られる。

M-3: 最初に来た時は確かにここにはなかった。このままにしておいて、このことを司令部に伝えるべきなのか、それとも?

M-2: これはおそらくミームだね。ほら。僕に翻訳させて。訓練は受けてる。

M-2は財団製の小型翻訳機を取り出し、フレーズを入力する。

M-2: ハッ、まあ気にしないで、ミームじゃないようだ。それによると…”地下室。子供の本に出てきた死体が地下室にある。彼もそこにいる。Fr-“で途切れてる。

M-3: ふーむ。写真を撮ってくれ。それを送-

M-2はうめき声を上げてお腹を押さえ始める。

M-3: 大丈夫か?何があったんだ?

一組の指がM-2の口から出てきて、顎を掴む。手がそれを押し下げ、顎が部屋中に飛散する。 SCP-4885がM-2の身体から出る。

M-1: な-なにこ-

M-1、M-3が共にSCP-4885に発砲を開始する。実体はM-1に向かって突進し、指を喉に押し込み、顎を外して口の中に爪を立て始める。

M-3: お願いだ、ファック、ああ、神様。お-お願いだ、司令部。俺たちは[位置編集済]にいる。繰り返す。[位置編集済]だ。至急、応援が必要だ。助けて。助け-

突然音声が途切れる。

[ログ終了]

 

近隣のサイトがこの記録を受け取ったとき、SCP-4885がその職員の大半を殺害したため、サイトはすぐにロックダウンされました。O5評議会は緊急会議を開き、手順インヴィニエント・エウムを作成しました。この直後に手順が施行され、SCP‐4885は収容されていると理論づけられました。SCP-4885の発見場所に関するすべての情報は自動アルゴリズムによって削除され、SCP-4885のファイルが作成されました。

……やってはいけないことを最悪な形で実行してしまいました。

壁にあった文章には、SCP-4885のいる場所が示されていたため、最初にその文章を読んだM-2からSCP-4885が出現したようです。

その文章は”地下室。子供の本に出てきた死体が地下室にある。彼もそこにいる。Fr-“というもので、『子供の本に出てきた死体』と『彼』が地下室にいるということを伝える文章となっていました。

『子供の本に出てきた死体』は、ウォーリーをさがせのキャラクターが皮膚に現れたSCP-4885-1実体であり、『彼もそこにいる。』という部分の”彼”がSCP-4885であると思われます。彼という曖昧な情報でも明確な場所が示されていれば、SCP-4885がやって来るようです。

もともと機動部隊員たちは現在調査中の家屋の場所を知っていると考えられるため、地下室という追加情報で場所が確定したと考えられます。

説明にあるとおり、出現したSCP-4885は自身の場所を知る、近くにいる者に対して、体外からの進入を試みるため、SCP-4885はM-1とM-3に襲いかかり、両名は銃撃を加え、増援を求めてM-3は応援要請を行いました。

これは通常であれば機動部隊の行動として模範的な行動であったと考えられますが、SCP-4885への対処としては最悪手であり、SCP-4885の居場所を近隣のサイトの職員に知らせることになり、出現したSCP-4885によりサイトの職員の大半が殺害されました。サイトはさらなる被害を防ぐためロックダウンされたようです。

財団サイトにはアノマリーに対抗するために通常よりも強力な兵器がそれなりにあると思われますが、SCP-4885には歯が立たなかったようです。

O5評議会は緊急会議を開き、手順インヴィニエント・エウムを作成・実行します。これによりSCP-4885は収容されていると理論づけられ、SCP-4885の発見場所に関するすべての情報は自動アルゴリズムによって削除され、SCP-4885のファイルが作成されました。

SCP-4885の場所という情報の伝達により、付近のサイトは壊滅的な被害を受けました。報告書への場所の記述が禁じられていたのは、このよう惨事を未然に防ぐためであったと思われます。

SCP-4885は非常に高い危険性を有しています。手順インヴィニエント・エウムにより収容されたようですが、一体どのようにSCP-4885を収容したのでしょうか?特別収容プロトコルに戻って読んでみます。

手順インヴィニエント・エウム

手順インヴィニエント・エウムは以下のように実施されます。

  • 36基のクラス-17収容チャンバーは独立した自動運転車に接続されます。SCP-4885の収容違反が突然予期せず発生した場合に備えて、216基の使用されていない収容チャンバーが常に利用可能な状態になっています。
  • 安定した精神的健康を持つ1名のDクラス被験者は、車両に投入され、システムに組み込まれます。暗号論的擬似乱数発生装置は、1〜36までの間の乱数を選択し、選択した乱数に基づいて車両を収容チャンバーに輸送します。
  • 各収容チャンバーには1台のデジタルモニターがあり、720pの解像度で映像を出力することができます。1度Dクラス被験者が無作為に収容チャンバーに搬送されると、すべてのモニターにメッセージが同時に送信されます。このメッセージはSCP-4885の現在位置で構成されており、埋込追跡装置を介して送信されます。GPSは、レベル5職員またはSCP-4885収容スタッフのみがneed to knowの原則に基づいてアクセス可能です。
  • 約2時間後、各収容チャンバーは、自動運転トラックでランダムに指定された財団サイトに輸送されます。トラックは疑念を持たれることを防ぐため梱包サービスのものに偽装されます。この段階で事故が発生した場合、手順インヴィニエント・エウムが再度施行されます。

以上が手順インヴィニエント・エウムです。

手順は複雑に見えますが、大雑把に言うとDクラスを収容チャンバーに入れてから、SCP-4885の居場所をDクラスに知らせることで、SCP-4885をDクラスのいる収容チャンバーに転移させて、出現したSCP-4885をDクラスごとそのまま収容するというものです。

Dクラスは体内に転移してきたSCP-4885により殺害され、その死体はSCP-4885-1に変化。最終的にはSCP-4885とSCP-4885-1が収容されます。

基本的にはSCP-106 オールドマンの再収容方法と似た囮を用いた作戦で再収容を行います。囮になる人間にとってはたまったものではありませんが、この手順により理屈の上ではSCP-4885を収容できます。

オールドマンの収容方法と異なるのは、SCP-4885の居場所を外部の人間や財団職員に絶対に知られてはいけないという制約があるところです。このため財団は人の手ではなく自動システムを用いて、居場所の漏洩を防いでいると見られます。

整理すると以下のようになります。

  1. 自動運転車に接続された36基のクラス-17収容チャンバーが用意されます。書かれてはいませんが各収容チャンバーには1〜36までの番号が振られていると思われます。
  2. これとは別に安定した精神的健康を持つ1名のDクラス被験者が車両に投入されます。
  3. 暗号論的疑似乱数発生装置により1〜36までの間から整数が1つ選ばれます。説明のため、ここでは18が選択されたとします。
  4. Dクラスの乗る車両が収容チャンバー18番へと移動し、Dクラスは18番収容チャンバーに入ります。
  5. 各収容チャンバーには1台のデジタルモニターがあり、SCP-4885の現在位置がすべてのモニターに送信・表示されます。
  6. これによりDクラスはSCP-4885の現在位置を知り、転移してきたSCP-4885により殺害されます。
  7. SCP-4885はそのまま18番収容チャンバーに収容されます。SCP-4885の現在位置はSCP-4885に埋込まれた追跡装置を介して取得しているようです。
  8. 約2時間後、SCP-4885を収容したチャンバーを含む各収容チャンバーは、梱包サービスのものに偽装した自動運転トラックでランダムに指定された財団サイトに輸送されます。この段階で事故が発生した場合、手順インヴィニエント・エウムが再度施行されます。

この手順によりSCP-4885の居場所を誰にも把握できない状態にすることで、SCP-4885は理論的には収容されています。グーグル翻訳によると、インヴィニエント・エウム(Invenient Eum)とはラテン語で、彼を探せという意味だそうです。

どの番号の収容チャンバーにSCP-4885が収容されるかは、暗号論的擬似乱数生成器 – Wikipediaにより決定されるため、誰にも予測できません(それ以外の乱数生成器は計算によって次に選ばれる数字が予測される可能性がある)。

またダミーの車両が多数自動運転で出発するため、SCP-4885を収容したクラス-17収容チャンバーがどこのサイトにあるのかは外部からはもちろん財団職員にも分かりません。

この他にもSCP-4885を収容したクラス-17収容チャンバーに誰かが進入することを防ぐため、以下のように特別収容プロトコルが定められています。

SCP-4885の存在を知っているいかなる職員も、クラス-17収容チャンバーから100m以内に進入してはなりません。各収容チャンバーの周囲には、水処理室であることを示す標識や警告がいくつか設置されており、進入を試みた場合には、倫理委員会によって決定に基づいて、即時記憶処理及び失職処分によって処罰されます。

これらの警告は、職員に収容チャンバーからのあらゆる漏出を近くの自動化サイト監督者に報告するように指示します。その中で職員は監督者によって視覚的に記憶処理が施され、手順インヴィニエント・エウムが施行されます。クラス-17収容チャンバーの構成については、資料7631.00を参照してください。

SCP-4885の存在を知っている職員は、SCP-4885を収容しているクラス-17収容チャンバーがどこのサイトにあるかは知りませんが、自分の働くサイトにクラス-17収容チャンバーがもしあれば、そこに実際にSCP-4885がいる可能性があることになります。そのため、接近自体が禁止されていると考えられます。

SCP-4885の存在を知らない職員に対しては、水処理室であることを示す標識や警告で偽装して、進入を防ぎつつ、収容チャンバーに何か異常があれば、職員は自動化サイト監督者にそれを報告します。その後その職員は視覚的な記憶処理を受け、その記憶を消去されます。

自動化サイト監督者とは、サイト監督業務を行う自動システムであると思われます。視覚的な記憶処理はどういうものかは分かりませんが、ミーム殺害エージェントの記憶処理バージョンのようなものかもしれません。報告を受けた際に通信端末の画面を介して記憶処理していると思われます。

この手順によりSCP-4885の収容は理論的には達成できます。しかしまだ大きな問題があります。それはSCP-4885-1です。

財団がSCP-4885を収容する以前に、SCP-4885により殺害され、SCP-4885-1へと変化した死体が全く存在しないとは考えにくく、多数のSCP-4885-1が野放しになっていると考えられるからです。

ですが、SCP-4885-1を探そうにも、探し出した人物は殺害されてしまうため、手を出すことができません。

可能性があるとすれば、AIや自律したシステムによる捜索・確保です。

特別収容プロトコルでは、SCP-4885-1への対処も定められています。

現在、far2.AICを介して特定されたSCP-4885-1実例は、ロケーションiに収容されています。ロケーションiの居場所は、far2.AICのみに知られています。現在、far2.AICはアメリカ合衆国内におけるCCTV監視カメラの80%、地球上のCCTV監視カメラの40%に接続されています。

far2.AICによって発見されたSCP-4885-1実例には専用の財団運搬ドローンを派遣してその身体を掴ませ、民間人との望ましくない干渉の可能性を最小限に抑えたルートを使用して、ロケーションiに運搬されます。民間人がドローンに気付き、SCP-4885が収容違反した場合、ドローンはSCP-4885の収容チームに”All Alert”メッセージを送信し、手順インヴィニエント・エウムが実施されます。

ロケーションiの位置が広く発見された場合、文書PAINT-THE-TOWN-YELLOW内に記述されている次の職員は次のロケーションiを設定し、その近親者には死亡したことが通知されます。

財団のAIであるfar2.AICにより、SCP-4885-1の捜索と回収が行われています。

AICとは、財団の様々な活動を担当・支援しているAIの総称です。”Artificially Intelligent Conscript”の略で、人工知能徴収員または人工知能コンスクリプトと訳されています。

far2.AICはアメリカ合衆国内におけるCCTV監視カメラの80%、地球上のCCTV監視カメラの40%に接続されているため、それらの映像からSCP-4885-1が映り込んでいないか調査することが可能です。

発見されたSCP-4885-1実例は、専門の財団運搬ドローンによりなるべく人目に付かないルートを使用してロケーションiに運搬されます。

SCP-4885が収容違反した場合は、ドローンはSCP-4885の収容チームに”All Alert”メッセージを送信し、手順インヴィニエント・エウムが実施されます。

このように財団はfar2.AICという人工知能を用いることで人の手を介さず、SCP-4885-1実例をロケーションiへと収容しているようです。

しかしながらここで疑問が生まれます。SCP-4885-1実例はロケーションiに運搬されると書かれています。

ロケーション(location)は場所を意味するため、ロケーションiはどこか特定の場所を示していると思われますが、場所を知る人物は殺害されるという状況下で、一体どのようにしてドローンによる回収システムを構築したのでしょうか?

その答えは補遺のロケーションiの創造に書かれています。

ロケーションiの創造

主任研究員アンドリュー・ペントからのメモ

最近、私はSCP-4885とそれが作り出す死体の明らかな危険性を警戒している。確かに、我々には手順インヴィニエント・エウムがある。しかし、恐らく外には何百体もの全く収容できないSCP-4885-1実例が存在しており、O5評議会でさえも死体を収容する方法は分からないと述べている。これは私の提言だ。私はDクラスも誰の助けも必要としない。

ドローンなどの機械にSCP-4885-1実例を検出させ、それを掴み、特定の場所に配送するためのアルゴリズムを作成し、その場所をロケーションiと呼ぶことにする。ロケーションiは、君たちの誰かが関わっている限り存在しないだろう。

この”ロケーションi”は、私以外の誰にも知られることはなく、私だけが知ることになるだろう。私は、私が作成したアルゴリズムでロケーションiを確立し、SCP-4885-1実例をロケーションiで降ろすことができるようにする。SCP-4885の効果を知っている人物なら誰でも、これが何を意味するか知っているはずだ。

ロケーションiが確立され、アルゴリズムが稼働したら、私はある場所に自分自身を追放する。君たちの誰かが関わっている限り、その場所は存在しないだろう。 私は森に身を投じ、SCP-4885が私を掴むのを待つ。私が自身を追放してからおよそ3日後、手順インヴィニエント・エウムを実行してくれ。そして、ロケーションiを探しに行こうとしないでくれ。

これを読んでいる君がO5でないのだとしたら、私が今言ったことはすべて既に起こっていて、この提言は成功しているということだ。私のために祈る必要はない。代わりに、ウォルドが見つからないよう祈ってくれ。

こちらの文章は主任研究員アンドリュー・ペントによって書かれてたメモです。このメモによると、現行のプロトコルに書かれているドローンによるSCP-4885-1の回収システムを構築したのは、SCP-4885主任研究員であるアンドリュー・ペントでした。

SCP-4885-1の危険性を認識していた彼は、自分一人でDクラスも誰の助けも必要としないドローンによるSCP-4885-1の回収アルゴリズムを考案・構築し、回収したSCP-4885-1が送られる場所をロケーションiと名付けました。

ペント主任研究員は、『この”ロケーションi”は、私以外の誰にも知られることはなく、私だけが知ることになるだろう。と書き残しています。SCP-4885-1の現在地の情報を知る者がペント主任研究員だけなのであれば、収容違反の危険性が大きく低下します。

回収システムが稼働すれば、SCP-4885の収容違反に繋がる野放し状態のSCP-4885-1の回収が可能となります。

しかしながら、ペント主任研究員が『SCP-4885の効果を知っている人物なら誰でも、これが何を意味するか知っているはずだ。』と書いているとおり、ロケーションiの場所を知る人物は、SCP-4885-1の場所を知ることになり、SCP-4885によって殺害されてしまいます。

つまり、ロケーションiはペント主任研究員の自己犠牲により作られたものだったのです。

ペント主任研究員は続けて、その後の計画を記述しています。

『ロケーションiが確立され、アルゴリズムが稼働したら、私はある場所に自分自身を追放する。』とあるようにペント主任研究員はある場所に移動した後にシステムを稼働させ、最初のSCP-4885-1がロケーションiに運ばれるのを待ちます。

そして、『森に身を投じ、SCP-4885が私を掴むのを待』ちます。ある場所とは森のことであるようです。

最初のSCP-4885-1がロケーションiに到着すれば、ペント主任研究員がSCP-4885-1の場所を知っている状態になります。その結果、SCP-4885がペント主任研究員のいる場所へと転移して、ペント主任研究員を殺害します。

当然、この際に目撃者がいてはならないはずですから、その場所は、人の居住地から隔絶した誰一人として立ち入らないような場所であると考えられます。また、誰一人としてその森の場所を教えてはいけません。

この森の場所もロケーションiと同じく、君たちの誰かが関わっていれば存在しない場所なのだと考えられます。

その後、ペント主任研究員がどこかの森へと自らを追放して3日経てば、ペント主任研究員はもう殺害されているでしょうから、3日後に手順インヴィニエント・エウムを実行して、ペント主任研究員殺害後に森を徘徊しているSCP-4885を収容すれば、計画の完了となります。

SCP-4885-1へ変化したペント主任研究員の死体が森に残されていますが、これは事前にドローンによりロケーションiへと運ばれるよう手配していると思われます。SCP-4885に殺害される上に、その遺体すら収容されてしまうという不条理のなか、彼はアルゴリズムを稼働させます。

こうして困難に思われたSCP-4885-1の収容が可能になりました。

ペント主任研究員が一人で構築しているため、ロケーションiの正確な場所の情報はもちろん、そのアルゴリズムも誰にも知られてはいません。ロケーションiが一般人や敵対的な要注意団体に見つかりさえしなければ、SCP-4885は収容違反せず、SCP-4885-1を収容し続けることが可能になります。

絶対にロケーションiを探してはいけません。

別収容プロトコルには、ロケーションiが発見された場合の対処方法が以下のように定められています。

ロケーションiの位置が広く発見された場合、文書PAINT-THE-TOWN-YELLOW内に記述されている次の職員は次のロケーションiを設定し、その近親者には死亡したことが通知されます。

ロケーションiが発見された場合は、文書PAINT-THE-TOWN-YELLOWに記載されている職員によって新たにロケーションiが設定されることになっています。『その近親者には死亡したことが通知されます。』とあるので、この場合もペント主任研究員同様に、一人でロケーションiを構築し、誰もいない場所で殺害されなくてはならないようです。

最後に、メモに戻ると、メモには『これを読んでいる君がO5でないのだとしたら、私が今言ったことはすべて既に起こっていて、この提言は成功しているということだ。』と書かれています。このメモはO5個人に宛てた内容であり、これが報告書に記載されているということは、この提言が成功したということになります。

『私のために祈る必要はない。代わりに、ウォルドが見つからないよう祈ってくれ。』という言葉通り、今の財団にできることは、SCP-4885-1が誰かに発見され、収容違反したウォルドを誰かが見つけてしまわぬよう祈るほかないのです。

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おわりに

SCP-4885 – 彼を探せでした。危険で厄介なオブジェクトでしたが、それだけにペント主任研究員の功績は非常に大きいものでした。

ところで最後まで読んでSCP-4885の異常性や収容方法は分かりました。しかしまだいくつか謎があります。その謎を最後にまとめてみます。

改造したスプリンクラーは何だったのか?

ログを読む限りでは、機動部隊が調べていた家屋にSCP-4885が居住しており、改造したスプリンクラーを使っていたと考えられますが、改造していた理由は不明です。

WALDO FOUND MOMMYは誰が書いたのか?

子どもが描いたような絵であるので、子どもだと思います。地下室の死体の家族でしょうか?

壁に現れたSCP-4885の場所が書かれていた文章は誰が書いたのか?

惨事のきっかけとなった最初はなかったとされる文章が最大の謎です。翻訳しているので英語ではない言葉が書かれていたと思われますが、最初ミームではないかと言われていた理由が不明です。

SCP-4885が自分で書いたのなら、ふつう彼とは書かないはずです。SCP-4885の被害者によるものだとすると、最初なかったことの説明がつきません。

SCP-4885の正体はなんなのでしょうか?

最後までお読み頂きありがとうございました!

SCP-4885 – Find Him
原著者 Westrin
http://www.scp-wiki.net/scp-4885
作成年 2019
翻訳者 sharkcrash
http://scp-jp.wikidot.com/scp-4885
作成年 2021
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