SCPシリーズの中には、ページに仕掛けのあるSCPがいくつかあります。今回はそんなSCPの中からSCP-444-KO – 無間地獄を紹介します。タイトル通りのホラー作品です。
SCP-444-KOは、情報災害警告 – SCP財団のページからパスワードを入力すると報告書のURLに飛ばされる仕組みになっており、リンク先では報告書と補足の文章の2つを読むことができます。
グーグル検索からSCP-444-KOを見てしまうと、情報災害警告のページがあることに気づきませんが、SCP-KO一覧 – SCP財団のSCP-444-KOのリンクからだと情報災害警告のページが表示されます。
情報災害警告のパスワード
パスワードはディスカッションページに書いてあります。それは……
5438464と4423144444です。
5438464で報告書(SCP-444-KO – SCP財団)、4423144444で補足の文書(444-KO-? 文書 – SCP財団)に飛びます。ちなみに4423144444は報告書の脚注の上あたりを反転すると書いてあります。以降は内容の整理になります。
SCP-444-KOとは
SCP-444-KOは███████の████山に位置する山荘に存在する5人の遺体。オブジェクトクラスはKeter。認識災害系のオブジェクトで、各遺体はSCP-444-KO-1〜5と指定された。遺体はSCP-444-KO-5を除いて、1983年に死亡したと推定されている。
遺体は全て腐敗しておらず、身元や死因などの確認が可能であった。しかし、SCP-444-KO-5についてはひどく歪曲しており、確認が不可能だった。保管のために遺体を移す試みは、遺体がその場所から離れず全て失敗している。
特別収容プロトコル
特別収容プロトコルは以下のようになっている。
クリアランス1~4/444Kが情報災害に感染したサイト-657関係者、その他の人物全員に付与されました。SCP-444-KO-1~5が位置している山荘周辺は野生動物保護区域の理由により閉鎖および警備し、周辺に接近する民間人を妨げなければなりません。また、各オブジェクトを定期的に監視しなければならず、特にSCP-444-KO-5はより注意を払わなければなりません。SCP-444-KO-5の視覚的な観察はクリアランス1~4/444Kを持つ職員にのみ許可されます。
研究員: SCP-444-KO-5を殺害した犯人の身元を明らかにすることを優先する。また、副次的業務で過去に山荘で起きた”殺人劇”に関して分析しなければならない。
報告担当者: 情報災害に感染した職員と感染していない職員とのコミュニケーション担当であり、情報災害が含まれていない最小限の情報と研究の進捗状況を非感染者に報告しなければならない。また、規約を施行するかどうかを決定しなければならない。
調査担当者: 山荘を直接調査して殺人劇についての手掛かりを発見しければならない。また、発見したた手掛かりは研究者が分析することになる。
SCP-444-KO-5を殺害した犯人は必ず発見しなければならず、犯人が発見された場合にはSCP-444-KO-5のオブジェクトクラスは、クリアランス1〜4/444K保持者の報告に基づいてEuclidに再分類され、クリアランス1〜4/444K保持者はクリアランス1〜4/444Kが解除されて本来の業務に戻ります。クリアランス1〜4/444K保持者は、一日ごとに必ずSCP-444-KO-5を殺害した犯人を発見するための調査を続行しなければならず、これを続行出来ない場合にはクリアランス1〜4/444K報告者によって規約”コピー”が発動されます。
情報災害の拡大を防ぐために感染した職員のみがサイト-657で収容に携わっているということのようです。次は各遺体についてです。
SCP-444-KO-1〜5
SCP-444-KOの異常特性
SCP-444-KOには次のような情報災害があります。
SCP-444-KO-5を現場で直接目で見ると、目で見た被験者はオブジェクトが人間であり、何者かに殺害されたと確信するような精神操作を受ける。最初に山荘から発見された遺体はSCP-444-KO-5のみであったため、財団は当初、SCP-444-KO-5を単純な精神操作オブジェクトと考えていた。
しかし、2004年7月8日に同じ山荘からSCP-444-KO-1〜4が発見され、新たな情報災害が発現。事件444K-12が発生する。内容は以下の通り。
- 2004年7月8日、約10人の職員で構成された調査チームが山荘を調べ、新たにSCP-444-KO-2〜4を発見。オブジェクトの情報がサイト-657に移される。
- 同7月9日、28人の財団職員が様々な理由で死亡。自殺か他殺か不明な6人を除けば、それらの死亡は全て殺人と推定されている。
- 28人が殺害されてから約2時間後、調査チームの報告を受けた司令部のセキュリティクリアランスレベル4を持つ3人が銃殺、後にサイト-657に配属されている約50%の職員が死亡する。
- 曝露した職員に記憶処理を行ったが、記憶消去を受けた者が一日後に全て”殺害された”ように死亡した。
調査の結果、この時点では以下のことが判明した。
SCP-444-KO-1〜4についてやこの殺人劇に関する情報が記述された文書を読んだ者は、情報災害に感染する(以後、感染者と呼称)。
感染者は、山荘に入った時、悲鳴と”大勢”の疑問の声が聞こえるようになり、SCP-444-KO-5を視覚的に直接目撃した時の現象(SCP-444-KO-5を殺害された人間であると認識する)に対する免疫を得る。
さらに感染者の一部は、条件は不明だが何者かによって殺害される。また感染者がSCP-444-KO-1〜5の殺人の犯人を見つけようとする試みを一日も欠かさず続けなかった場合にも、感染者は殺害されたように死亡する。
また、特別収容プロトコルにあった「続行出来ない場合にはクリアランス1〜4/444K報告者によって規約”コピー”が発動されます。」というのは、おそらくはサイト-657の全職員が死亡し、収容及び研究が行えなくなる恐れがある際に、収容を維持するために、SCP-444-KO-1〜5について記述された文書のコピーを用いて感染させた職員を補充するということだと思われます。
調査では感染者が誰に殺されたのかは明らかにされなかったが、これもSCP-444-KO-5によるものだという説が提起された。誰に殺されたのかを正確に突き止めることが、クリアランス1〜4/444K保持者の二番目に優先される任務となっている。
マーカス博士からのメッセージ
このように、SCP-444-KOは、感染すると殺害される恐れがある情報災害であり、なおかつ職員の犠牲がなければ収容できないという非情に厄介なSCPです。殺害が起こらないようにするためにも、犯人究明が急がれるところですが、報告書の最後で読めるロイド・マーカス博士からのメッセージで絶望的な真実が明らかになります。
回収記録が消失したというハズ主任研究員のメッセージに対して、マーカス博士は、我々の調査は無駄であったと返し、SCP-444-KO-1〜5の死は、-1は-2に、-2は-4に、-4は-3に、-3は-5に殺害されるという加害者が新たな被害者となる殺人の連鎖であり、-5は自殺であったと述べます。マーカス博士によると彼らはそれぞれメッセージを送って山荘に集まり、彼らが計画した通り互いに殺し合った結果があの現場の状況でした。
殺人の連鎖は誰かが自殺をすると止めることができるそうで、最初の連鎖殺人ではSCP-444-KO-5が自殺したため、一時的に殺人は停止しました。しかしその後財団によって他の遺体が発見され、再び連鎖殺人が始まったようです。殺人劇は知られていないまま全て終わる必要があったのですとマーカス博士は述べています。
感染者が多数殺害されたのは、この殺人の連鎖に組み込まれて、殺害されたためだったとマーカス博士は述べています。なんとメッセージの時点で既に45人が死亡していることが判明します。
また、「事実上、その文書はO5も直接見ることが出来ない最も安全なのものです。しかし、前の文書を編集する権限がないので変えることは出来ませんでした。編集した奴は自分の権限と無駄な忠誠心を働かせたのです。彼にはこの情報について話していません。 」というのは、このSCPの報告書は閲覧が制限され、非感染者は閲覧できないため、自殺せずに真相を書くことができますが、非感染者である報告担当者が、文章を権限がなければ編集できないようにしたため、権限を持たない博士は報告書に真相を残せないということだと思われます。
報告担当者は文章を閲覧すると感染するため、おそらく受け取った文章データを閲覧せずに財団のデータベースに保存しているのだと思われます。既に打つ手はありませんが、マーカス博士は真相を感染者の職員に送ります。もちろん、これで殺人が止まるわけではないため、マーカス博士はいずれ、真相を知る者はみな殺害され、誰もいなくなり、財団に真相を伝えることができずに終わると予測します。
補足の文書
補足の文書のパスワードは報告書に隠されてありました。権限のあった誰かがが残したのでしょうか?補足の文章には、SCP-444-KO-6〜8、68〜73、97〜101、140〜144までの死亡者の記録が記載されています。一部は削除済みで読めませんが、終わりの方は以下のようになっています。
すまない、一緒に無駄な努力をしてくれた友たちよ。2日前…調査に出掛けたんだ。ロープを解くと…消えた職員が…しかし一体…あの人々は…どのように…
どうしようもなかった。私は…
文章の内容は以上です。
マーカス博士はハズ主任研究員によって殺害。ハズ主任研究員は██████ ███████に殺害されます。ハズ主任研究員が残したとみられる記録によると、ハズ主任研究員はSCP-444-KO-5のロープを解くという”最悪の選択肢”を行ってしまい、最初にロープを解こうとして消えた職員たちが恐らくは変わり果てた姿で現れたようです。
そしてSCP-444-KO-144の項目では???が被害者、SCP-444-KO-5が加害者の位置に書かれています。
文章の最後の画像には、山荘から去る歪んだ人型の実体が写されています。この実体はSCP-444-KO-5でしょう。つまり、連鎖殺人の感染源が解き放たれたということになります。際限なく続く連鎖殺人で人類は滅びてしまうのでしょうか……。
疑問点
大体のところはこんな感じで理解できたのですがいくつか疑問点があります。
- 「444-KO-? 文書」を残したのは誰なのか?
- なぜ1回目にロープを解こうとしたときは職員が消失し、2回目は職員が戻ったのか?
- ロープを解くとなぜSCP-444-KO-5が解放されるのか?
という疑問点が残ります。これについても考えてみたいと思います。
「444-KO-? 文書」を残したのは誰なのか?
「444-KO-? 文書」には死亡者の記録とSCP-444-KO-5とみられる画像がありますが、一体誰が文章を残したのでしょうか?マーカス博士は誰かが残したと述べていたのですが、マーカス博士の死も書かれており、文章の作成者と更新した誰かがいることになります。文章の作成者と更新者は別人の可能性がありますが、そのどちらにせよ、この死亡者の記録は情報災害により、感染者のみが知ることができる情報であるため、文章を残したのは感染者と思われます。
作成者と更新者が同一人物なのかはわかりませんが、文書を更新したのは、マーカス博士のメッセージを見た、サイト-657で生き残った職員、またはサイト-657の職員が全滅したために規約”コピー”で補充された職員ではないでしょうか?
パスワードを見つけ出せれば更新は可能と思われます。SCP-444-KO-5とみられる画像をどうやって撮影したのかについては、それに関する記述がないため推測ですが、サイトには監視のために監視カメラが設置されていて、そこに映っていたという可能性があります。
なぜ1回目にロープを解こうとしたときは職員が消失し、2回目は職員が戻ったのか?
消失という異常現象を起こすことが可能なのは、異常オブジェクトしかありえませんので、この殺人の連鎖を起こしていたと考えられる???か、???を殺害したSCP-444-KO-5になります。
2回目に消失が起こらなかったのは何故でしょうか?情報災害の内容を思い出してみます。
- SCP-444-KO-5を見ると対象が何者かに殺害された人であると確信する。
- SCP-444-KO-1〜4についてやこの殺人劇に関する文書を読んだ者は、上記の効果に対する免疫を得る
- SCP-444-KO-1〜4についてやこの殺人劇に関する文書を読んだ者は、連鎖殺人で殺害される。
SCP-444-KO-5にとって2は自殺の可能性を調べさせることにつながり、調査の中でロープが解かれることを期待できます。最初ロープを解こうとしたのは上の情報災害に感染した職員で、2回目は下の情報災害に感染した職員でした。2の1への免疫は、???の起こす消失に対しても有効だったと考えると、2回目は耐性があったため消失せずに済んだと説明できそうです。
職員が戻ったのはロープが解かれたことで消失の効果が切れたということかもしれません。
ロープを解くとなぜSCP-444-KO-5が解放されるのか?
これも記述がないためよくわかりませんが、ロープが解かれるとSCP-444-KO-5が解放されるようにわざわざ???がしていたとは考えにくいので、異常オブジェクトと化した際に、SCP-444-KO-5がロープが解かれると解放されるほどの強い力を得たということかもしれません。そして自身では拘束を解けないため、2の免疫を感染者にもたらしロープを解かせたのかもしれません。
おわりに
SCP-444-KOでした。非情に怖い作品でしたね。最後の画像は本当にビビりました……。長文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
http://ko.scp-wiki.net/scp-444-ko
444-KO-? 문서
http://scpko.wikidot.com/scp-444-ko-document
作成年:2015
SCP-444-KO – 無間地獄
作成年:2017
アイキャッチ画像を除くこの記事の内容は『クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承3.0ライセンス』に従います。
コメント