SCP財団には、SCP-191 – サイボーグの少女やSCP-706 – 完璧な磁器人形といった、女性型のSCPも多く登場します。今回はそんな女性型のSCPの中からSCP-166 – 年頃のサキュバスを紹介します。
※2021/08/05 SCP-166は2020年10月30日にCerastes氏により大きく改稿されています。本記事の内容はそれ以前のものになります。
※2018/1/27カノンについて修正。
SCP-166とは
SCP-166は標準的な身長とスレンダーな体格を持った、10代後半の人間の女性のように見える。オブジェクトクラスはEuclid。一般的な人間と比べると髪の毛の成長がおよそ1ヶ月あたり20cmと早い。またタバコの煙やエアロゾルと言った大気中の粒子に対するアレルギー(急性の喘息発作に似た症状)を持っている。皮膚は圧迫などにきわめて弱く、非常に薄い衣類であっても、45分以上にわたって着用し続けるとSCP-166の皮膚は炎症を引き起こす。このため、SCP-166は裸でいることが許可されている。SCP-166は多くの医学的問題を抱えているため、少なくとも週に1度は検診を受ける必要がある。
食事は、1週間ごとに1度人間の精液1ccを経口摂取することを除いて、いかなる栄養補給も必要としない。精液は付近の精子バンクから供給されている。栄養物を必要としないものの、通常の人間の食物を摂取することは可能であり、実際摂取している。
特に貞操、清貧、服従の原則に基づく禁欲生活を送りたいという本人の願いにより、SCP-166の男性に対する影響力は本人に少なからぬストレスを与える(日本語版の訳はnot leastを訳し間違えていると思われますので、ここでは書き換えています)。このため、男性とSCP-166が接触することは厳しく制限される。
特別収容プロトコル
その男性への特異な影響力により、特別収容プロトコルは以下のようになっている。████年██月██日現在、SCP-166は最小限の警備環境下、サイト-17に住居として用意された標準的なクラスBの居室に住んでおり、隣接する部屋は監視所として改装されている。少なくとも1名の女性スタッフが隣接する監視部屋に常時待機し、閉回路のテレビカメラか目視による直接監視を行う必要がある。
男性職員がSCP-166を見たり接近したりすることは禁止されている。これに違反すれば懲戒審査の対象となり、場合によっては終了される。エリア全域に対しては、全ての男性職員の立ち入りを禁じる警告標識が設置されている。
視認のリスク対策として玄関から保護部屋への視線をさえぎるため、保護部屋に続く通路および隣接するエリア全域に、遮蔽となる半透明のアクリル板が設置されている。また想定外の露出が起こるリスクを最小限にするため、全てのカメラと窓は最低でも50%の透過率を持った、細部がぼやけるような半透明のフィルムを貼られており、SCP-166が写っている全ての証拠写真は記録として保管されず、一定期間後に破棄される。
- ドゥエ・ランス聖書シャロナー改訂版(許可)
- カソリックのロザリオ(許可)
- カソリックの司祭による告解、ミサ、そのほかの秘蹟への参加権(却下)
- さまざまな本や雑誌。多くは本質的に信仰に関わるもの(内容を吟味したのち、許可)
- イングランド、コーンウォール修道院、院長に対する電話連絡(許可): SCP-166には1週間に1時間だけ、この番号にのみ掛ける事を許可する)
SCP-166は基本的に、宗教的な物品や本、テレビや美術品などによって娯楽が得られている限りにおいて、住居から外に出る事はない。保護に対して協力的な態度の見返りとして、SCP-166は月に1度だけ12時間の間、サイト-17に隣接する無人島への外出が許可されている。
こうした場合には限定的開放に関する手続き19-aに従い、これに加えて移送の際には、男性職員によるSCP-166の半径500m以内への接近、および彼女が滞在中の島への侵入が行われないよう徹底している。
SCP-166は敬虔なカトリック教徒であると窺い知れますが、その思いと裏腹な能力に苦しんでいるようです。姿を見られると欲情され、一部は暴力的になるという普通の感覚でも迷惑極まりない、嫌な能力ですが、カトリック教徒であれば、さらにその思いは強いと思われます。
発見時の状況
SCP-166はもともとイングランドのコーンウォールにある修道院で発見された。修道女達によれば、SCP-166は、彼女のことを「強力な力を持つ古きものの」子だと主張する「これと言って特徴のない人物」によって修道院にもたらされ、その際世話の仕方について指示を受けた。SCP-166の母親を発見しようとする試みは、今日に至るまで一つも実を結んでいない。
SCP-166は修道女達によって修道院から出ることなく育てられたが、あるとき、事件が起こる。若い男が修練女(誓いを立てていない修道女)の一人の元を訪れるため、修道院に忍び込み、偶然SCP-166を見てしまった。その3日後、男は狂乱して修道院を襲撃、SCP-166に接触しようとした。男は修道女1人を殺害し、3人をひどく負傷させた後、部隊によって無力化された。
他の用件で現地の司祭と相談していた財団の工作員が事件を聞きつけ、現場へと向かった。SCP-166の影響力に捕らわれそうになった工作員は直ちにSCP-166との接触を断ち、自らを隔離して本部へ女性工作員の派遣を要求、発見任務を引き継がせた。エージェント・ベアトリス・マドックスは修道院長と対談し、SCP-166を財団の施設へ移送して保護および研究にあてられるよう交渉した。
父親からの手紙
愛する██████へ私が初めてお前の母に会ったのは彼女が子供だった頃だ。彼女は軽やかに歩み、瞳は星のように輝いていた。彼女は 美しく、天真爛漫で、そして私は彼女をこの手で殺した。エデンは場所の名前ではない。エデンとは存在のありようのことだ。彼らは私たちをエデンへ連れ戻そうとしている。私は彼らを止めた。私は楽園を彼らから瞬く間に奪い去った。あの日のことを後悔した事はないが、ただ一つだけは気がかりだった。お前があの日初めて私に会ったとき、実の父が実の母の頭に弾丸を撃ち込んでいるところを見せてしまったことだ。私は決して言い訳などしない。ただ説明するだけだ。お前が私のしたことを理解してくれることを願っている。こんな私をどうか許して欲しい。私はお前を愛している。もっと親としてしてやれる事があればよかったのに。私に出来たのは、お前を優しくて愛に満ちた人々の下へと送り、お前を私の場所で育ててもらうことだけだった。私が見てきた限りでは、彼女らは上手くやってくれた。彼女達と一緒にいられなかったことについてはすまないと思っている。財団がお前達をここに連れて来た事も残念でならない。お前がここに滞在する間、幸せでいられるように最大限の努力をする。約束だ。誰もお前に危害を加えさせなどしない。16歳の誕生日おめでとう、わが愛しの娘。お前の父████ ███████
SCP-166は特異な体質で、修道院で事件に遭っただけでなく、自身の母が父に射殺された瞬間も目撃していたようです。非常に不幸な境遇です……。
父親の正体
父親の正体は何者でしょうか?手紙の内容によると、SCP-166の父は、エデンという場所に連れ戻そうとする者たちを止め、楽園を奪い去り、SCP-166の目の前でSCP-166の母を射殺。射殺の瞬間がSCP-166との初対面だったと書かれています。
それまでSCP-166に会ったことがなかったということになりますが、一体どういう事情でそうなったのかとても気になります。その時まで娘がいる事実を知らなかったのでしょうか?それとも知ったうえで会えない理由があったのでしょうか?
SCP-166を修道院に預けたのは、父でした。それだけしかできなかったとも書かれています。そして、財団に収容されたのは残念だが、幸せでいられるように最大限の努力をする、誰もお前に危害を加えさせないと最後に記しています。
SCP-166の父にも、何らかの力があると思われますが、愛する娘を育てる、財団から取り戻すというような行動はできないようです。この父親は、最小限とはいえ、財団により警備されているSCP-166の居室に文章を残しているので財団の関係者かもしれません。
Taleでは
ある自殺者のメモ – SCP財団というTaleでは、SCP財団でお馴染みのクレフ博士が、SCP-166は自分の娘であると告白しています。クレフ博士の人事ファイル – SCP財団によると、クレフ博士は現実改変の影響を受けないようで、財団に入る前はGOCのエージェントとして多くの現実改変者を粛清しています。これらの特徴・経歴から見ると、確かにSCP-166の父の行動と一致しているように見えます。
各SCPやTaleはカノン(簡単に言うとSCP財団の基本となる共通設定のこと)ではないとされているので、この内容をSCP-166の真実と考えるか否かは、読者に委ねられています。こちらのTaleによるとSCP-166の名前はエポンというそうです。カノンについては以下を確認ください。
http://scpnote.com/archives/4742276.html
ちなみに、事件239-B クレフ-コンドラキ – SCP財団というTaleでは、クレフ博士はSCP-166の影響を受けないようで、SCP-166と面会しているようです。
おわりに
SCP-166でした。せめて穏やかに暮らせることを祈りたいですね……。最後までお読み頂きありがとうございました!
作者作成年不明、リライトはDrClef(2008年)
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