『SCP-814-JP – 灰の降りしきる戦場へ』最後の文章の意味を調べてみました。

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最近読んだ『SCP-814-JP – 灰の降りしきる戦場へ』の最後の方に書かれていたどこの国の言葉かわからない文章が気になったので、どこの国の言葉でどんな意味なのかを調べてみました。

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SCP-814-JPとは

SCP-814-JPは長崎県██市の山中に放棄された廃トンネル内に存在する扉。オブジェクトクラスはSafe。この扉はSCP-814-JP-Aと表記される異空間に繋がっている。通過対象は生物、非生物を問わないが、1m以上の全長を持つことが必要となっている。

SCP-814-JP-Aは、第一次世界大戦以降の時間軸に存在した戦場の一場面(原爆投下時の広島、ベトナム戦争時のハノイ、湾岸戦争時のイラクなどが確認された)を再現しているものと推測されている。

これらの空間は侵入ごとに変化し、現時点において同一のものが発生した事例はない。また空間内の特徴として本来存在しうる生物あるいは武器及び兵器が存在しない、不定期に灰が降っている、様々な種類の人形(こけし、マトリョーシカ、ソフビ人形、デッサン人形などが確認されている)が本来人物が存在したであろう場所に散乱している、といった点があげられる。

内部に存在する物体は持ち帰ることが可能だが、上述の灰は地表に到達すると同時に消滅する。この灰は特定不可能な不特定多数の個人の人灰であることが判明している。また、人形も大量生産されたものであり持ち主の特定には至っていない。

SCP-814-JP-A内に侵入した人間は、SCP-814-JP-A内に存在する扉から脱出が可能だが、人間が侵入した場合、人数に関わらず侵入した人物のうち一人が脱出時に消失する。この現象は人間以外の生物、無機物には発生しない。

消失する対象に規則性は見られないが、現時点の調査結果から、殺人、過失致死など誰かを殺害した人物は対象に選ばれないことが判明している。ただしこれは複数の侵入者のうち、殺人の前歴がない人物が存在する場合においてのみであり、単独での侵入、もしくは全員が殺人の前歴を持つ場合は条件を満たしている人物においても消失対象となりえる。

侵入させた無人ドローンによる記録映像から、消失対象は脱出の際扉をくぐると同時にSCP-814-JP-A内のランダムな位置に転移することが判明している。この際、消失対象は手を合わせる、十字を切る、平伏するなど多種多様な祈りと思われる行動をとっており、同時に発声を行っている。現在時点で対象が発声している言語は地球上の言語体系いずれとも一致しないものだと確認されている。

その後、侵入した人物が全員扉を抜けた時点で扉は消失し、同時にSCP-814-JP-A空間も収縮し消滅する。GPSなどの位置把握システムはこの時点で断絶する。

特別収容プロトコル

特別収容プロトコルは以下のようになっている。SCP-814-JPはその入り口となる廃トンネルを老朽化に伴う工事中として偽装したうえに鉄柵で囲い、常に二人以上で監視を行う。SCP-814-JP内に侵入する一般人を発見した場合は即座に捕縛し、Aクラスの記憶処理を行う。侵入を許してしまった場合は、自力で脱出するまで救出せず脱出後、消失者以外にはAクラスの記憶処理を行い、消失者については行方不明のカバーストーリーを流布する。SCP-814-JP-A内の調査はセキュリティクリアランス3以上の職員による認可が下りない限り全長1m以上の無人ドローンを使用することとなっている。

補遺1: これまでの実験で消失した空間が再現していた戦場の位置を特定、調査した結果、SCP-814-JP-A内において、消失現象が発生した地点を中心とした半径5mの地点と該当する位置に本来自生しないワスレナグサの花畑が確認されている。これらの植物自体には異常な特性は見られなかったものの、生息する土壌は強いアルカリ性を示しており、土壌からその原因となる物質は確認できなかった。本来なら枯死する環境下でこれらの植物が何故自生できているかについては調査中。

補遺2: 補遺1の結果をふまえ判別可能であった該当地域を調査したところ、殺人の前歴がある対象が消失した地域においては、前述の花畑は確認されなかった。

また、土中検査の結果████人以上の判別不可能な人骨、及び破損した音楽再生機器が発見された。この機器は判別不能な女性が以下の一節を唱える声のみが録音されており、その再生以外の指示は受け付けなかった。

Kyrie eleison. Oro supplex et acclinis, cor contritum quasi cinis: gere curam mei finis.

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最後の文章の意味

最後の文章はどこの国の言葉でどういう意味なのでしょうか?文章でググって調べてみたところ、この文章は、カトリック教会のミサ曲で、「死者のためのミサ曲」とも訳される『レクイエム』の一節であることがわかりました。

具体的には、「Kyrie eleison.」は、曲目『キリエ』の中の、それ以降は曲目『呪われたもの』の一節でした。『レクイエム』の原文はラテン語で書かれており、『キリエ』は例外的にギリシャ語となっています。

その訳はレクイエム – Wikipediaによると以下になります。

Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Oro supplex et acclinis,
cor contritum quasi cinis:
gere curam mei finis.
私は灰のように砕かれた心で、
ひざまずき、ひれ伏して懇願します。
終末の時をおはからいください。

調べたところ、『レクイエム』のこの節ではキリスト教における最後の審判の様子が描写されているそうです。

最後の審判は、世界の終末において神的存在が人類を裁き、正しいものは救済され、悪はすべて滅びるという終末思想で、キリスト教の最後の審判では、キリストが再臨し、人々を裁き、人々は永遠の命を与えられるものと地獄に落ちるものとに分けられるとされています。

最後の審判の前には天使と悪魔の軍勢による最終戦争があり、人類はほとんどが厄災の中で息絶えているそうですが、最後の審判ではそれまでの死者はすべて蘇り、キリストにより裁かれます。

レクイエムのこの節では最後の審判で罰せられることなく楽園へ行けることを神に乞い願う、カトリック教徒の思いが歌われているようです。

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SCP-814-JPの解釈

レクイエムの内容と併せて考えると、SCP-814-JPは何らかの超常的な存在がSCP-814-JPへの侵入者を利用して、戦争で灰になった死者への祈りを捧げているのかもしれません。戦争はまさしく人類の罪そのものなので、その許しを乞うていると思われます。

祈りの言葉が地球上の言語と一致しないことから、その存在は、異世界の存在なのかもしれません。消失する対象に殺人者が選ばれないのは、罪がより深い者を避けるためのように思われます。消失した対象がSCP-814-JP-A内に再出現した地点と同じ場所には、ワスレナグサの花畑が見つかっていますが、ワスレナグサは英名もforget-me-not「私を忘れないで」ですので、消失した人物が祈りを捧げていること、または戦争という人類の罪を忘れないでと言いたいのかもしれません。

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おわりに

SCP-814-JPの最後の言葉がどこの国の言葉でどんな意味なのかを調べました。誰もいない人形が散らばった灰の降る戦場というイメージは、物悲しい雰囲気で味があるように感じました。

SCP-814-JP – 灰の降りしきる戦場へ
by kyougoku08
ja.scp-wiki.net/scp-814-jp
作成年:2016
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