子供向けのメルヘンな世界が徐々にホラーへと変貌していく恐怖のSCP、SCP-2571を紹介します。
クラッグルウッドパークにようこそ
ここでは楽しいことが決して
*決して*
終わることはありません
SCP-2571とは
SCP-2571は、実在しないテーマパーク(“クラッグルウッド・パーク”)についての反復性を有する子供時代の記憶。オブジェクトクラスはEuclid。世界人口の0.05%がSCP-2571の影響を受けていると推定されている。また最近得られた証拠は、この割合が増加している可能性を示唆している。
SCP-2571拡散の主要ベクターはまだ判明していないが特筆すべき点として、この記憶は一人っ子として育てられた成人に最もよく見られる。
影響者への記憶処理は当初は有効だが、クラッグルウッドに関する記憶は治療をやめると再浮上する。これらの記憶には様々な説明が成されるが、幾つかの詳細が一致している。
- 対象者はこのテーマパークを訪れた時点で4~12歳の間だった。
- パークは、主に擬人化された樹木や植物を中心とする多数のキャラクターを特色としていた。
- 大人の監督者はいなかった。
- 園内ではカリオペ(カリオペは蒸気を利用したパイプオルガンのことで、蒸気オルガンとも呼ばれるようです。calliope musicでYouTubeを検索すると聞くことができます)の演奏音が聞こえていた。
- 対象者は園内で他にも多数の子供たちと会ったが、いずれも知り合いではなかった。
- 園内の乗り物は1台の回転木馬カルーセル(または“メリーゴーラウンド”)だけだった。対象者と一緒にいた子供たちはこれに乗ったが、対象者自身は乗らなかった。
SCP-2571とクラッグルウッド・パークの双方が有する正確な性質についての調査は進行中。
SCP-2571は子供時代の実在しないテーマパーク(“クラッグルウッド・パーク”)に関する記憶で、世界人口の0.05%(およそ380万人)が同じような記憶を持つと考えられているようです。しかし何が原因で拡がっているのかは不明のようです。収容はどのように行っているのでしょうか?
特別収容プロトコル
特別収容プロトコルは以下のようになっている。財団運営Bot(I/O-MANDELA)が、SCP-2571に関する議論の検出のためにオンラインコミュニティを監視します。機動部隊ファイ-7(“お笑い草”)がこれらの議論の調査を行い、ケースバイケースで適切な行動を決定します。
財団は収容をせず情報の収集と隠蔽に注力しているようです。補遺では3つのインタビューと映像記録を読むことができます。
補遺2571.1: インタビューログ
インタビューログ
日付: 2002/11/16
質問者: ライナー博士
対象者: ルパート・デュカソー
[記録開始]
ライナー: “クラッグルウッド・パーク”についてどんな事を思い出せますか?
対象者: おいおい。その件で来たのか? ただの昔見てた悪夢だよ。
ライナー: 詳しく説明してもらえますか?
対象者: つまりだな、あれは — 多分、小さい子供の頃に行った実際のテーマパークが元になってると思うんだよ、な? きっと当時の俺にはトラウマだったんだろうさ。
ライナー: 悪夢の中では何が起きるのですか?
対象者: 俺はまずテーマパークに入っていく。ディズニーランドみたいな感じだが、もっと小さい。乗り物は無くて、ただ森の中を抜ける長くて曲がりくねった道だけが続いてる。何もかもマンガの世界みたいに明るくてカラフルだ。それで周りを木が取り囲んでるんだが…
ライナー: 木について教えてください。
対象者: そいつらには皆、顔がある。そして歌ってる。ぼんやりした楽しそうな顔つきで、昔のマンガ映画の中に出てくるような感じ。それでただ歌ったり笑ったり歌ったりしてるだけだ。
ライナー: 他には何かありますか?
対象者: どこに行っても音楽が流れてる。オルガンの演奏みたいなんだが、教会で聞くようなタイプじゃない。もっとこう、カーニバルで聞けるようなやつ。
ライナー: 先ほど、乗り物は無かったと言いましたね。
対象者: あー、いや待て。違う、間違った。乗り物はあった — 1つだけ。たった1つ。馬が円を描いて回ってるアレだ。何のこと話してるか分かるよな?
ライナー: 回転木馬ですね。
対象者: そうだ。そのアレ。オルガンの曲はそこから流れてる。
ライナー: 貴方は一人でしたか?
対象者: いや。他にも子供たちがいた。そいつらも、その場にいるのが幸せじゃない。俺たちはみんなニコニコしたり笑ったりしてるけど、それは自分が泣き出すのを抑えるためにやってるんだよ、な? 木々を騙すためだ。だから木々には俺たちがどれだけビビってるか分からない。木々を幸せなままにしておくためなんだ。
ライナー: 木々を幸せにしておく?
対象者: ああ。
ライナー: 他に何か思い出せることはありますか?
対象者: ああ、クソ。分からねぇよ。長い間あそこの夢は見てないんだ。あー、でも… 一つだけ、終わり近くにある。
ライナー: リラックスしてください。時間は好きなだけ掛けてくださって結構です。
(対象者は目を閉じる。)
対象者: ちょうど俺が帰ろうとしていた時、ある物が目に留まる。足元から芽吹いてるちっぽけな木だ。そいつが俺を見上げてる。笑ってるんだ、満面の、とぼけた、幸せそうな笑顔で微笑みかけてるんだ。そいつを見て、そして俺は叫び始める。そこで目が覚める。
ライナー: 何故その木を見て叫ぶような事になるのですか?
(対象者が目を開く。)
対象者: だって、そいつは俺の顔をしてるんだ。
[記録終了]
SCP-2571の記憶を有する人物、ルパート・デュカソーへのインタビューでした。
SCP-2571の記憶はルパートにとっては悪夢であったようです。テーマパークの中は、森の中を抜ける長くて曲がりくねった道だけが続いていて、森の木々には皆、顔があり、ぼんやりした楽しそうな顔つきで、歌ったり笑ったりしていたようです。
またパーク内はどこもカリオペによる音楽が流れてたと述べられています。その音源は回転木馬で、その周りには笑っている子供達がいたようです。しかしその笑顔は、自分が泣き出すのを抑えるためにやっていることで、木々を幸せなままにしておくためなんだと意味深なことをルパートは述べています。
夢の最後は、足元から芽吹き、満面の笑顔でこちらを見上げている小さな木の顔が、ルパート自身の顔であることに気付き、叫び声を上げ目が覚めるというものでした。これは怖いですね……。
インタビューログ
日付: 2003/02/09
質問者: ライナー博士
対象者: ジャニン・ヤーリング
[記録開始]
ライナー: 貴方は回転木馬に乗りましたか?
対象者: えっ? 勿論ノーよ。何を言ってるの?
ライナー: では、それに近付いた時、何が起こりましたか?
対象者: 子供が何人か乗った。アタシは違うけど。乗った子たちは — 何人かは笑ってて、何人かは泣いてた。乗らなかった子たちを抱きしめた子も幾らかいたわね。お互いに抱きしめ合ってた子たちもいた。
ライナー: そして何が起きました?
対象者: その子たちは回転木馬に乗った。そして私たちは帰ったの。
ライナー: 彼らには何が起きたのですか?
対象者: (苛立った様子) 知る訳ないじゃない? 帰ったんだから。
ライナー: 貴方は彼らを置き去りにしたのですか?
対象者: (更に苛立った様子) ええ、置き去りにしたわ。何よ、私たちがそこに突っ立ってるべきだったとでも思ってるの? この先何が起こるか見てれば良かったのにって?
ライナー: 申し訳ありません。貴方を何か責めるようなつもりはありませんでした。貴方はまだ子供でしたから、誰も—
対象者: その通りよ、私はただのクソみたいな悪夢の中にいるクソガキだった、私は — 私はただ —
(対象者は首を振る。)
対象者: 私は、あんたはこれが私にとってどういう物なのか、私をどんな気分にするかさっぱり分かってない。私はこの事は話したくもないのよ。私はただ忘れたいだけ。どうして黙って帰してくれないの — どうして —
(対象者は啜り泣き始める。)
対象者: ごめんなさい、私 —
ライナー: 誤る必要はありません、ヤーリングさん。貴方は間違いなく、その経験が深いトラウマになっている。
(対象者は啜り泣き続けている。)
対象者: 私、私ただ、分からないの。
ライナー: 私には想像もつきません。貴方の仰る経験というのは道理の通る点がほとんど無い。
対象者: (しゃくり上げる) 違うの、そうじゃないのよ。私…
ライナー: どうしました?
対象者: 子供の一人。乗った子供たちの一人のこと。
ライナー: はい?
対象者: なんで? どうしてあの男の子は私を抱きしめたの? 私 — あの子が誰なのかも分からないのに —
(対象者の啜り泣きが激しくなる。)
[記録終了]
先程とは別のSCP-2571体験者、ジャニン・ヤーリングに対してのインタビューでした。最初の説明のところで、SCP-2571の記憶の中には回転木馬が出現すると書かれていましたが、ジャニンは回転木馬の周りにいた子供たちの様子を答えています。
ジャニンによると、子供のうちの何人かは回転木馬に乗ったようです。回転木馬に乗った子供たちの様子は、笑っていたり泣いていたりしており、乗らなかった子たちを抱きしめた子やお互いに抱きしめ合ってた子たちもいた模様です。ジャニンは回転木馬には乗らずに帰ったようですが、先ほどのルパートと同様に詳しく聞かれることに対して拒否反応を示しており、インタビューの途中で泣き始めています。
理由は分かりませんかこの体験がトラウマになっているようです。 さらにジャニンは回転木馬に乗った知らない男の子に抱きしめられたことを話し、さらに激しく泣き出しています。
回転木馬に乗らずに帰ってきただけであれば、トラウマになるような強い恐怖や苦痛があったとは考えられませんが、体験者のこの反応は一体なんなのでしょうか……?
インタビューログ
日付: 2004/06/12
質問者: ライナー博士
対象者: ランドルフ・ブレア
[記録開始]
ライナー: ビデオカセットについてお聞きしたいことがあります。
対象者: 止してくれ。
ライナー: 分かります、この —
対象者: 君たちには分かってないよ。私はこの件については、何も君たちと話し合いたくない。畜生。だからセラピストに打ち明け話なんかすべきじゃなかったんだ、あのクソ女 —
ライナー: お願いします、ブレアさん。集中してください。
対象者: (溜め息) 続けてくれ。
ライナー: このカセットですが。何処で手に入れました?
対象者: 知らないね。見当も付かない。大掃除をしている時に屋根裏部屋で見つけたんだ。ゴーストバスターズか何かの古い録画だと思っていたよ。
ライナー: これに映っている映像のどれかに見覚えはありますか?
対象者: 分からない。ああ。悪夢の中でなら。丁度こういうふざけた内容だった。多分、誰かが子供時代の私にこのテープを見せたんだろう。
ライナー: 貴方はこれまでずっと、この家に住んでいらした?
対象者: ああ。
ライナー: ご両親にこの家で育てられたのですね?
対象者: ああ。これは何の話かな?
ライナー: 正面にある寝室 —
対象者: いいか、そのくだらない話はしたくないんだ、分かったな?
ライナー: 理解できます。しかし私たちは何が起こっているのか把握する必要があるのです、ブレアさん。何故、正面の寝室は —
対象者: 知らない。知らないんだよ。あれはいつもあの部屋にあったんだ。でも誰も使わなかった。だから私は鍵をかけたままにしておいたんだ。あれについては考えないようにしている。
ライナー: 分かります、ブレアさん。最後に —
対象者: 終わりにしてくれないか?
ライナー: 最後にもう一つだけ聞かせてください。
対象者: 何だい。
ライナー: ブレアさん、貴方はずっと一人っ子だったのですか?
(対象者は回答を拒否する。)
[記録終了]
注記: 対象者は以後のインタビュー実施を拒否し続けている。
先程とは別の人物、ランドルフ・ブレアに対してのインタビューでした。先程と同じく話すことを拒んでいます。ランドルフは、彼の家にあったビデオテープのことを尋ねられてます。ランドルフはビデオの映像に見覚えがあり、悪夢のなかでそれを見たと答えています。この悪夢はSCP-2571のことと思われます。
ビデオテープは鍵のかけられた、誰も使っていない寝室の中にあったもので、屋根裏で見つけたとランドルフは述べています。おそらく過去に寝室にあったものが屋根裏に移され、それをランドルフが見つけたものと考えられます。
インタビューの最後に質問者のライナー博士はランドルフに彼が一人っ子なのか聞いており、ランドルフは回答を拒否しています。SCP-2571は一人っ子が見るということなのでその確認だとは思いますが、回答を拒否する理由は何なのでしょうか?
以下の補遺で映像記録の内容を知ることができます。
補遺2571.2: 映像記録
映像記録
日付: 2004/06/10
注記: 以下の記録は、ランドルフ・ブレアの所持品から発見されたミニビデオカセットの内容を転写したものである。“CRAGGLEWOOD”という語句がラベルに黒のフェルトペンで記されている。
00:23
[記録開始]
[00:01]: (重たげな呼吸。)
[00:05]: 森林区域に続く砂利道を映した、不安定な映像。
[00:10]: (遠くでカリオペの演奏が聞こえる。)
[00:21]: 視点が回転し、道を下っていく他の子供たちに焦点を合わせる。数名が手を繋いで歩いている。
[00:32]: 視点が砂利道を向く。
[00:36]: (静かな啜り泣き。)
[00:39]: 声1: (囁き) 怖いよ。
[00:41]: 声2: (囁き) シーっ。大丈夫だ。大丈夫。泣くんじゃない。笑わなきゃダメだ。笑わなきゃ。
[00:55]: (遠くで歌声が聞こえる。)
[00:58]: 声2: (囁き) 笑って。ほら、頼むからさ、笑いなよ、約束する、大丈夫だって。俺が面倒みてや-
[01:02]: 砂嵐。
01:09
[01:09]: ぼやけた映像。
[01:10]: (歌とカリオペ演奏の歪んだ音声。)
[01:15]: (低い、楽し気な笑い声。)
[01:20]: (歌声と音楽が強まる。)
[01:25]: 声2: (囁き) マジかよ。
[01:26]: 砂嵐。
[01:30]: およそ12人の子供たちが回転木馬の周りに立っている。
[01:32]: 声1: (囁き) 何があったの?
[01:35]: 声2: (囁き) シッ、ちょっと…
[01:39]: (歌声が強まる。)
[01:42]: 声2: (囁き) そんな。
[01:45]: 声1: (囁き) あいつら — あいつら何なの —
[01:48]: 声2: (囁き) よく聞け、お前は —
[01:52]: 視点が下がり、砂利が映る。
[01:58]: 声2: ゴメン。ゴメンな。お前は行くんだ。行かなきゃダメだ —
[02:01]: 声1: やだ! そんな —
[02:05]: (歌声が強まる。子供たちの啜り泣く声が聞こえる。)
[02:08]: 声2: 行け、お願いだ、ゴメンな、俺は平気だから、だから —
[02:12]: 砂嵐。
[02:20]: 視点は激しく揺れながら森の小道を走っている。
[02:21]: (重たげな呼吸。)
[02:22]: (遠くで歌声が聞こえる。)
[02:25]: 声1: (囁き) やだ、やだ、やだ、やだ —
02:42
[02:30]: 視点のバランスが崩れ、地面に倒れる。視界の中心には顔が映っている。
[02:35]: 声1: (啜り泣き) やだ、やだよ、嘘だよね、だよね —
[02:38]: 顔が見上げ、微笑む。
[02:41]: 声1: (啜り泣き) やだよ、やだよぉ —
[02:42]: (声2が 歌い始める。)
[記録終了]
ラベルに“CRAGGLEWOOD”と書かれたビデオテープの映像記録でした。映像はインタビューにあったSCP-2571の夢に出てくるテーマパークを撮影したもののようで、パーク内の道を下っている子供たちの姿が映っています。最初の画像は、撮影時間的にこの子供たちを捉えたシーンのようで二人の子供の後ろ姿が写っています。映像には音声が含まれており、声1と声2による会話として記録されています。
映像を撮影していたのが声1と声2のどちらかだとすると、最初の画像の2人組の子供は声1と声2とは別人だということになります。
内容は声2が声1を励ましながら、他の子供と共に道を進み、回転木馬に到着します。回転木馬の周りには12人の子供たちが立っています。はっきりとは分かりませんが、何かが起こり、歌声が大きくなるなかで、声2が声1を逃がそうとし、最後は声2が歌い始めています。その時刻の画像には不気味にほほ笑む木の顔が映し出されています。またSCP-437 – ’91年の夏へのリンクが貼られています。
このSCP-437はキャンプ・レイクウッドにある木々で、この木の表面は顔のようになっており、X線と超音波による画像診断によって、思春期の子供が木の内部で木と同化していることが確認されています。また耳を樹皮に押し当てると、声がするようです。
どうやら声2がSCP-2571に取り込まれ、画像にあったような顔をした木になったように見えます。映像記録の中身が最初のインタビュー内容と同じだとすると、声2は小さな木になったのではないかと考えられます。
内容の考察
ここまでSCP-2571を見てきましたが、結局のところSCP-2571とは一体何だったのでしょうか?
読んでいて気になる点として、映像に映った子供の数が説明やインタビューと異なるのが気になります。説明によると一人っ子がこの記憶を有するとあり、最初のインタビューも体験者は一人でした。しかし映像では2人組の子供が映っていて、登場する声も2人でした。
一人っ子が有する記憶になぜ2人組の子供が登場するのでしょうか?3つ目のインタビューでは一人っ子なのかと問われるも回答を拒否しています。本当に体験者は一人っ子なのでしょうか?もしそうではないとすると、次のように考えることができます。
この記憶を有する者は、一人っ子ではなく兄弟・姉妹がいたと。もしそうだとすると木になって笑っていた顔は、体験者の兄弟・姉妹ということになります。
つまり“クラッグルウッド・パーク”に入ったのは一人っ子ではなく兄弟や姉妹達であり、そのうちのひとりは回転木馬に乗ったためにSCP-2571に取り込まれ、生き残った者だけがSCP-2571から生還したということです。生還した体験者やその家族はSCP-2571により兄弟・姉妹がいたことを忘れさせられ、SCP-2571の記憶を悪夢の中の出来事として記憶するようになると考えられます。
ところでSCP-2571には反ミームというタグがついています。この記憶の改竄こそが反ミームなのではないかと思われます。SCP-2571には認識を阻害するという反ミームの性質があったのだと思われます。
インタビューを受けた体験者がみな話したがらないのは、SCP-2571の記憶を思い出すと、その時の辛い感情が意識せずとも蘇るためだと思われます。兄弟・姉妹がいたことを記憶から消されていたとしても、その時受けた恐怖や悲しみ・嘆きといった感情までは消せなかったのでしょう。
また、”影響者への記憶処理は当初は有効ですが、クラッグルウッドに関する記憶は治療をやめると再浮上するのが典型的です。”とあったのは、記憶処理でも強いトラウマまでは消せなかったということではないでしょうか。
インタビュー内容
それでは、この、体験者には兄弟・姉妹がいたが、記憶を消されているという前提の元でインタビューを振り返ってみます。2つ目のインタビューでは体験者は見知らぬ子どもに抱きしめられていましたが、その子どもは見知らぬ子どもなどではなく、体験者自身の兄弟であったと考えられます。体験者は兄弟を奪われたことが原因で、トラウマを抱えており、インタビューで泣き出したのだと考えられます。
1つ目のインタビューでは、最後に自分の顔をした小さい木がこちらの方を向きますが、これは体験者本人ではなく体験者の兄弟の顔であったと思われます。兄弟で顔が似ていたのでしょう。
また3つ目のインタビューにあった鍵のかかった誰もいない部屋というのはおそらくはこの消えた兄弟・姉妹のものなのでしょう。映像記録が残っていたのは、3つ目のインタビューを受けた体験者自身が声1であり、“クラッグルウッド・パーク”を撮影していたと考えるのが妥当のようにと思われます。反ミームにより撮影したことを忘れていたがテープを捨てることはできなかったのだと推測されます。
“クラッグルウッド・パーク”は現実には存在しないと書かれていますが、声1が映像記録を撮影していたとすると、この記憶は夢ではなく現実だったことになります。このテーマパークは地球上にあるまだ見つかってない場所、もしくは別次元にあるのかもしれません。
“クラッグルウッド・パーク”は子供達を誘い込み、回転木馬に乗ったものを取り込み、SCP-437のような木に変えるのではないかと思われます。木に変えられた子供達の一部がSCP-437なのかもしれません。
もしSCP-2571が兄弟・姉妹を狙って木に変えているのだとすると、説明では同じような記憶を持つものが世界人口の0.05%(世界人口を76億人とするとおよそ380万人)いる可能性があるとのことなので、恐ろしい数の犠牲者が存在することになります。またその数も増えているということから、SCP-2571の性質は調査中とありましたが、前記のことが確認されたらすぐにでもSCP-2571はKeterに改訂されそうです。
どこかの森には、木に変えられた子供たちが大量にいるのかもしれませんね……。
おわりに
SCP-2571でした。ちなみに以前紹介した
http://scpnote.com/archives/scp-3117.html
こちらも同じ著者の方によるホラー系の作品でした。原著者の方はアカウントを削除されていて、残念ながらもう活動はしていないようです。いましたが、復帰した模様です。
ja.scp-wiki.net/scp-2571
アイキャッチ画像を除くこの記事の内容は『クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承3.0ライセンス』に従います。
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