最近になって、更新が途絶えていたPitch Havenの新作が本家に投稿されて歓喜している管理人toribamiです。今回は短いながらも不可解なSCP作品、SCP-5511 – 君がいなくなった時、誰が君を覚えている?を紹介・考察します。
SCP-5511とは
SCP-5511は説明によると2020/02/12の夜に発生した、約1ミリトン(1kg)のTNTと同程度の力で84人の民間人の頭部が自然に爆発して死亡したイベントです。この爆発の力やそれに伴う破片によってさらに20人が爆死し、30人以上が負傷しました。オブジェクトクラスはKeterです。
複数の民間人の頭部が爆発するという異常な事件が起きた模様です。異常はそれだけに限らず月面にも発生します。
このイベントの間、月面には赤い文字の突起物(SCP-5511-1)が出現し、新たな被害者が現れるたびに変化しました。被害者には、加害者の発見につながる可能性のある原因やパターンは発見されませんでした。
被害者の共通点はなし……。一体なにが起きたのでしょうか?SCP-5511-1の変化と犠牲者の情報が表にまとめられていますが、表を見る前に特別収容プロトコルを見てみます。
特別収容プロトコル
特別収容プロトコルは以下のようになっています。
SCP-5511の収容は、SCP-5511の原因究明と再発防止をすることに重点が置かれています。被害者の死亡を目撃した全ての人物は記憶処理され、死因の調査を防止するために死体は火葬されます。彼らの死についてのカバーストーリーが広まっています。マーケティング戦略として月への投影を描く偽情報キャンペーンが現在進行中です。
財団は記憶処理と偽装工作によりSCP-5511を隠蔽しています。それでは注目すべき犠牲者のリストを見てみます。
以下はSCP-5511-1の変化に伴う、注目すべき犠牲者のリストです。このリストはレベル2以上のクリアランスがあれば誰でも閲覧可能です。
時間 | 被害者に関する情報 | SCP-5511-1の変化 |
---|---|---|
18:30 EST(アメリカ東部標準時) | 被害者なし、イベント開始。 | SCP-5511-1が最初に出現し、数字”000000”を示した。 |
~19:20 EST | 1番目の被害者。イヴ・ヘンドリックス、32歳、ウェールズ、バンゴー出身の主婦であり二児の母親。 | SCP-5511-1によって表示される数字は800増加し、”000800“と表示されている。 |
~20:10 EST | 13番目の被害者。ジェニファー・クェルレ、29歳、ドイツ、ミュンヘン出身の小学校教師。 | SCP-5511-1によって表示される数字は3100増加し、現在”012500“と表示されている。 |
~23:20 EST | 32番目の被害者。ガマール・アラウイ、52歳、エジプト、カイロ出身のテクノロジー企業CEO。 | SCP-5511-1によって表示される数字は100増加し、現在”0034600“と表示されている。 |
~02:50 EST | 49番目の被害者。ジョシュア・キャロン、17歳、フランス、リヨン出身の人気ライブ配信者。 | SCP-5511-1によって表示される数字は2600増加し、現在”0052400“と表示されている。 |
~04:00 EST | 64番目の被害者。エイジ・オウエ、23歳、日本、大阪出身のニート(”就学・就労・職業訓練のいずれも行っていない”(”Not in employment, education or training.”)の略称)。 | SCP-5511-1によって表示される数字は増加せず、”0061400“と表示されたままである。 |
~06:20 EST | 最後(84番目)の被害者。ランス・メイソンズ、32歳、テキサス、オースティンのオフィスワーカー。 | SCP-5511-1によって表示される数字は1200増加し、現在”076700“表示されている。 |
06:30 EST | 被害者無し、明確なイベントの終了。 | 数字の値は変化しなかったが、より小さいサイズとなって表示された。その上に”GAME OVER”という別の文章が大きな文字で表示された。 |
被害者の情報が書かれていますが、説明通り共通点があるようには見えません。
SCP-5511-1と指定された月面の赤い文字の突起物は、出現した当初は”000000”という数字でしたが、犠牲者が増えるに従い数字が増加し、最後に”GAME OVER”(ゲームオーバー)と変化しています。この数字の増加は一定ではなく被害者によって異なっていますが、この数字の増加は何を意味するのでしょうか?
数字の増加は何を意味するのか?
その答えはメタタイトルにありました。
SCP-5511のメタタイトルは君がいなくなった時、誰が君を覚えている?でした。
この文章は、君がいなくなった時、つまりは死んだ時に何人の人間が君の存在を記憶しているか?という意味の問いかけだと考えられます。この問いかけを今回のSCP報告書に当てはめると、数字の増加は被害者が死亡した際にその被害者の存在を何人の人間が記憶していたかに基づいていると推察できます。
この仮定で被害者の情報を再確認してみます。
1番目の被害者であるイヴ・ヘンドリックス(32歳、ウェールズ、バンゴー出身)は主婦であり二児の母親でしたが、数字の増加は800でした。次に13番目の被害者、ジェニファー・クェルレ(29歳、ドイツ、ミュンヘン出身)は小学校教師で、数字の増加は3100増えていました。
数多くの生徒がいるであろう教師は、主婦よりも多くの人に記憶されていたと思われます。32番目の被害者、ガマール・アラウイ(52歳、エジプト、カイロ出身)はテクノロジー企業のCEO(最高経営責任者)で、100増加していました。企業のCEOは主婦よりも知名度がありそうですが、ここはあまり仮定と一致していません。零細企業だったのでしょうか?
49番目の被害者であるジョシュア・キャロン(17歳、フランス、リヨン出身)は人気ライブ配信者で数字の増加は2600でした。小学校教師には及びませんでしたが、人気ライブ配信者であれば多くの人物に記憶されていたと考えられます。
64番目の被害者であるエイジ・オウエ(23歳、日本、大阪出身)はニートであり、数字の増加はゼロでした。ニートであるなら人との交流は主婦よりも少ないと思われるため、これは仮定と一致していますが、最低でも親や親戚がいれば記憶されているはずなので、記憶しているのが親類の場合はカウントされない可能性があります。
最後(84番目)の被害者であるランス・メイソンズ(32歳、テキサス、オースティン)はオフィスワーカーで、数字の増加は1200でした。こちらは主婦よりやや多い数値ですが、主婦よりは多くの人物に接していると思われるため、仮定と一致していると考えられます。
数字の増加は、死亡した際にその被害者の存在を何人の人間が記憶していたかでおおよそ説明できそうです。しかし、テクノロジー企業のCEO(最高経営責任者)の増加数が100と少ないのが、上手く説明できません。
改めて表を眺めると、何人の人間が記憶していたかではなく、何人の人間がその人物に好意を持って記憶していたかというのが基準なのではないかとも考えられます。
テクノロジー企業のCEO(最高経営責任者)は知名度はあると思われますが、好意を持たれているかは分かりません。嫌われている可能性も大いにあります。
人気ライブ配信者は知名度・好感度も高いでしょう。教師、主婦、オフィスワーカー、ニートの好感度はその人の性格や行動によって異なると思われるため、なんとも言えません。
以上の点から、数字の増加は、基本的には何人の人間が記憶していたかが基準だと思われます。しかしそれだけではなく、好意を持たれていたかどうかも基準になるのかもしれません。
それではこの一連の爆発は一体何だったのでしょうか?
SCP-5511の真相
おそらくこの一連の爆発は、定められたルールに基づいてスコアを競うゲームが行われた結果、引き起こされたものだと考えられます。
そのルールとは、より多くの人間から(おそらくは好意を持って)記憶されていた人間を爆死させると高得点が得られるという非道極まりないものであったと考えられます。
SCP-5511-1と指定された月面の赤い文字の突起物は、ゲームのスコアを表しており、ゲーム終了時に終了の合図として”GAME OVER”と表示されたのでしょう。時間的にも18:30 ESTから開始してちょうど12時間後の06:30 ESTに終了しています。ゲームによくある制限時間が定められていたと解釈できます。
この一連の爆発がゲームだとすると、ゲームの主催者やプレーヤーがいる筈ですが、その点は謎に包まれています。おそらく人間を自由に爆死させ、月面に突起物を生成できるような強力な力を持った実体や団体によって引き起こされたと思われますが、何も情報がないため不明です。
ただ、倫理観がないことだけは確実のようです。
第2、第3の事件が発生しそうですが、財団は原因究明と再発防止が可能なのでしょうか?
おわりに
SCP-5511 – 君がいなくなった時、誰が君を覚えている?でした。
最後までお読み頂きありがとうございました!
http://www.scp-wiki.net/scp-5511
http://scp-jp.wikidot.com/scp-5511
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