SCP-106 – オールドマンの画像が差し替えに!その理由と画像の元ネタを調べてみました。

本家SCP
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年末・年始は体調を崩して、しばらく更新を休んでいましたが、体調が戻ってきたため更新を再開します。今回はSCP-106 – オールドマンの画像が差し替えになったいきさつを調べてみました。画像の元ネタも調べましたがこちらは結局謎のままでした。

※2019/03/03:クリエイティブコモンズのバージョン説明を訂正。

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SCP-106 – オールドマンとは

SCP-106 – オールドマンは、印象に残る怖い画像とその内容の恐ろしさで、SCPの読者の間では有名なSCPです。画像の元ネタがなんなのかは皆さん気になるようで、Google検索では検索候補に[SCP-106 元ネタ]と出てきます。

簡単にこのSCPオブジェクトを説明すると、SCP-106 – オールドマンはその名の通り老人の姿に見えるKeterクラスの人型実体です。この実体は身体的損傷を受けないため、物理的抑制が不可能で、あらゆる個体を通り抜けることができ、触れた固体を腐食させる能力を有します。またオールドマンはポケットディメンションと呼ばれる、ホールと部屋で構成された異空間に出入りすることができます。その能力故にSCP-106は、度々収容違反を起こしています。

収容困難なSCP-106ですが、本当にヤバいのはその行動です。この実体は、人間を、特に若者を狩ることを好み、収容違反しては人々を襲います。その狩りは人間の内臓や筋肉、腱を傷つけ動けなくさせ、ポケットディメンションに引きずり込み、内部で犠牲者を弄ぶというもの。SCP報告書には変わり果てた犠牲者の画像(閲覧注意)も載っています。

逃げ出したSCP-106の回収手順もまた嫌なものになっています。それは生きた人間を傷つけその泣き声でオールドマンを誘い出すというもの。必要があれば非人道的な手段でもそれを行なうという財団のやり方が如実に表されています。

オールドマンは画像が印象的なSCP作品でしたが、最近SCP-106の3つの画像(SCP-106、収容室の扉、犠牲者)が差し替えになりました。

元画像はこちらで確認できます。

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画像の元ネタ

画像差し替えの理由を説明する前に画像の元ネタについて調べた結果を述べたいと思います。SCP-106の本家のディスカッションによると、元の画像は作者のDr Gears氏が匿名掲示板4chanの超常現象や不気味な画像を扱う/x/で拾った画像ということでした。それ以上の画像の出所や詳細は作者も知らないようで、結局画像の元ネタは何かわかりませんでした。

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画像差し替えの理由

画像差し替えの理由はライセンス上の問題を解決するためでした。そもそもSCP Foundationの作品はクリエイティブコモンズ、表示 – 継承 3.0 非移植 (CC BY-SA 3.0)ライセンスのもとで公開されています。このライセンスは簡単にいうと、クリエイターが自ら作成した作品に対して、一定の条件下での再配布や改変、二次創作を許可する場合に用いられるライセンスです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにはいくつか種類がありますが、このCC BY-SA 3.0ライセンスが与えられた作品は

  • 作品名や原著者の名前などのクレジットの表示
  • この作品を利用して作った作品にも同じライセンスを付与する(継承)

という条件を満たせば自由に作品の複製・再配布、改変や二次創作ができます。SCP記事は全てこのライセンスのもとで公開されていて、イラストやマンガなどのSCPの二次創作は、この条件を満たすことで可能となります。当記事もこのライセンスのもとで公開しています。

SCP-106もこのライセンスのもとで公開されており、条件を満たせば自由に利用できます。

ところがSCP-106の元画像は出所が不明です。そのため画像の権利者が誰かわかっていません。この画像が後述するCC BY-SA 3.0ライセンスで利用できる画像であれば何も問題はありませんが、権利者が利用を許可していない場合、画像を無断使用し、さらに第三者にもCC BY-SA 3.0ライセンスによる利用許可を与えていることになり、最悪の場合、著作権侵害で訴えられる可能性があります。そのため元の画像はCC BY-SA 3.0ライセンスのもとで公開されているSCP Foundationで使用するには適切でないため、差し替えられました。

クリエイティブコモンズ、表示 – 継承 3.0 非移植のライセンス下で使用できる画像は基本的に以下のライセンスのものに限られます。

  • CC BY-SA 3.0~1.0 3.0、2.5、2.0
  • CC BY 3.0~1.03.0、2.5、2.0
  • CC 0またはパブリックドメイン
※3.0とはクリエイティブコモンズのバージョンで、3.0以下3.0、2.5、2.0のバージョンが付与された作品でも利用可能です(訂正:1.0は1.0でしか使えませんでしたLicense Versions – Creative Commons)。

自分で作った画像であれば上記のいずれかのライセンスで公開すれば、SCP Foundationで使用することができます。

差し替えにあたり本家のSCP FoundationではSCP-106画像コンテストが開催されました。

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SCP-106画像コンテスト

SCP-106画像コンテストの説明はIntroducing: The SCP-106 Photography Contest!!!!! : SCPに書かれていますが、その内容はSCP-106の画像差し替えコンテスト – SCP財団でも紹介されています。

コンテストの参加作品はこちらに載っています。SCP-106 Photography Contest Submission Thread (with bonus 162 category) : SCP

ちなみにSCP-106作者のDr Gears氏の作品、SCP-162 – とげとげの塊も画像がなかったため、上記スレッドでSCP-162の画像も同時募集されたようです。

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参加作品

参加作品を一部紹介します(閲覧注意)。

SCP-106

SCP-106 by TheVolgun https://i.imgur.com/5Xw4PjV.png CC BY-SA 3.0

SCP-106 by drbobbobart [Licensed under CC BY-SA 3.0]

Comprised of the following images: 1, 2, 3, and 4

収容室の扉

SCP-106 door by Mapper720  http://www.mapper720.ru/renders/scp106door.html CC BY-SA 3.0

“The Hole-y Door” By ThrowawaySCPmemes111 (licensed under CC BY-SA 3.0)

犠牲者

SCP-106 Door by jslsyl (Licensed under CC-BY-SA 3.0). 

“SCP-106 Victim” by ThrowawaySCPMemes111, [Licensed under CC BY-SA 3.0]

Composed out of this image.

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コンテストで選ばれた画像

コンテストで選ばれた画像(SCP-106、収容室の扉、犠牲者)はこちらです。

当初SCP-106に選ばれたのは ILBRelic氏による”106-Emergence” で、実際にSCP-106に掲載されましたが、ゾンビ映画(原題:The Return of the Living Dead邦題:バタリアン)の静止画からの部分的な盗用が発覚したため、Cinemamind氏の作品がSCP-106に選ばれました。

SCP-106に掲載された画像は、笑顔・リアルでないという懸念からDjkaktus氏により画像編集を受けています。また犠牲者の画像は見た目がイラストにみえるため、Djkaktus氏によりイラストに見えないように編集されています。

SCP-106と犠牲者の画像は粘土で作った塑像をデジタルペイントして作られています。ArtStation – SCP-106 “The Old Man”, David Romeroでは、画像の元となった塑像が見られます。

結果の告知ページはこちらです。

The SCP-106 Photography Contest winners have been decided and uploaded! : SCP

これで決まったかと思いきや第3形態さらなる展開がありました。

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画像が再び変更される

SCP-106の画像はCinemamind氏の作品に決まりましたが、ディスカッションでは不評だったようです(賛意を述べる意見もありました)。

そんななかreddit – WikipediaのSCP公式サブフォーラムThe SCP FoundationユーザーであるMrKlay氏が2018年に投稿し好評だったSCP-106の画像が新たな候補となりました。この画像はMrKlay氏が制作中のSCPのショートフィルムに登場するSCP-106の画像で、サイトメンバーの方がMrKlay氏に使用許可を求めたところ、MrKlay氏はSCP-106の記事に使用することを許可しました。

そこで改めてAsk and ye shall receive: SCP-106 “Emergence” image replacement redux!でSCP-106の画像をどうするか次の選択肢から投票することになりました。

  1. Cinemamind氏の作品を選ぶ
  2. MrKlay氏の作品を選ぶ
  3. ランダムにどちらかを表示させる

その結果MrKlay氏の作品が選ばれました。そしてSCP-106 ‘Emergence’ variations – Which is your fav? : SCPでいくつかの画像編集案からHが選ばれようやくSCP-106の画像が決まり、2019/01/18に画像が掲載されました。

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おわりに

以上が画像差し替えの経緯になります。以前のSCP-106画像の得体の知れない不気味さやインパクトは薄れた感じがありますが、犠牲者の画像は前と負けず劣らず恐ろしいですね。

ちなみにMrKlay氏はSITE 22 – Short Filmという作品をYouTubeで公開しています。SCP-106のショートフィルムも今後公開されるかもしれません。

 

SCP-106 – The Old Man
原著者 Dr Gears
http://www.scp-wiki.net/scp-106
http://ja.scp-wiki.net/scp-106
アイキャッチ画像を除くこの記事の内容は『クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承3.0ライセンス』に従います。

コメント

  1. 差し替え前の犠牲者の画像が実際の遺体のものであることが判明したとのことです。
    https://youtu.be/HTftNzLVLyA